「バイオハック」のススメ

2017.1.20

バイオハック特集では、自身の体験をもとに「個体差に合わせた健康法」を提案していく。
今まで当たり前だと思っていたことがバイオハックを体験すれば大きな気づきになるだろう。

「バランスのよい食事を」は時代遅れ

自分たちが子供だった頃、親が「バランスのよい食事を」と、栄養素を考慮した食事を作ってくれていたのではないだろうか。

そんな自分が親になり、同様に我が子のために「バランスのよい食事を」と炊事を頑張っている人も多いかもしれない。

いきなり少々ショッキングなことを言うが、それはもはや時代遅れだ。むしろ、健康への道を逆走するようなことを一生懸命にやっていると言っても過言ではない。

結果論で考えれば、「バランスのよい食事を」は政府を中心としたミスリードだった。事実、そんな曖昧な飽食の習慣が生活習慣病の増加を生んだ。「アメリカでは正しい三大栄養素比率」、「理想的な栄養バランス」という概念はすでになくなっている。子供のときに教わった栄養についての常識は、残念ながら間違っていたのだ。

栄養学はこの10年で大きな進化を遂げた。昔は油を控えることが正しいと信じられていたが、今ではよい油を積極的に摂るとよいことがわかってきている。コレステロールの摂取量にしても制限をすることが推奨されてきたが、現在は制限する必要は無いと言われている。

事実、2015年にはアメリカの食事摂取基準が改訂された。「食べるコレステロールと油は制限しません。なぜなら心臓病にも肥満にも因果関係がないからです」。アメリカではコレステロールに関する今までの常識が誤りだったことを政府機関が認めてアナウンスしている。

一方、日本のスーパーやコンビニではいまだに脂質やコレステロールをカットした食品が多く陳列され、正しい知識が消費者に行き届いているとは言えない。

健康やダイエットには脂質が大敵だと、いまだに考えている人が大勢いるからだろう。

アメリカでガイドラインが変更されたのはほんの1年前。日本との時差があるのは仕方がないとは思う。だからと言って正しい知識のインプットを怠ってはならないし、さいわい正しい情報を得ることは難しくない時代だ。何事にも間違いはつきもの。

なにかに固執するのではなく、常に正しい情報をインプットする努力を怠ってはならない。

必要な栄養素には「個体差」がある

そもそも一歩立ち戻って考えてみれば、栄養、ひいては健康法に画一的な答えがあると考えること自体に違和感を覚えないだろうか。

例えば、分子栄養学では、集中力を要する仕事に就く人ほどナイアシンを摂ることを推奨している。よく風邪を引くなど体調を崩す人は、高抗酸化力を持つビタミンCが人一倍必要だ。肉体労働者は、精神的と言うよりも身体的な、筋肉を早期回復させるタンパク源を中心に、クエン酸やマグネシウムなどのミネラルもしっかり摂れる食事内容を検討するべきだ。

人のからだには「個体差」がある。全員が画一的なからだをもっておらず、それぞれのライフスタイルを送っているのであれば摂取すべき栄養素も異なる。

さらにいえば、自らが健康かを判断する手段として健康診断だけでは不十分だ。なぜなら、健康診断では「結果」しかわからず、「原因」までは分からないからである。個々人の個体差を知ったうえで今の健康状態とその原因まで知ることが、健康なからだづくりにおいては重要だ。

からだと意識はつながっている

僕はもともとDNA解析をしたり、先端のオルタナティブ医療、スーパーフードなどを試したりすることが好きで、健康のためというより個人的な好奇心から試行錯誤を続けてきた。それを経て個体差の重要性に気づけたのは、「ある本」を読んだことをきっかけに、DIYで「バイオハック」を始めたことだ。

その本は「バターコーヒー」で有名な『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』。シリコンバレーの起業家である著者のデイブ・アスプリーが、自らのからだで実験し、検査数値やその後の自分の体調と照らし合わせながら科学的にハンズオンの体質改善を行った記録だ。

バターコーヒーバターコーヒー
「自分のからだをハックする」という少しギークなニュアンスも気に入った。人間のからだはコンピュータに似ていて、そのメカニズムを正しく理解すればからだや脳のバージョンアップが可能である。いや、人間のからだはより複雑なのでパージョンアップの余地ははるかに大きい。

このことは、以前から感覚的にわかっていた。胃腸の調子が悪くなると思考がネガティブになり、逆に調子が良いとポジティブになった気がしていたのだ。からだの仕組みを理解することが、意識のバージョンアップにもつながる。
そのことも、僕がバイオハックに興味を持った所以である。

からだには有害金属がたまっている

この本は主にダイエットの観点から注目されていて、自分でも実践してみて一定の効果はあった。これを機に自分なりにバイオハックを実践することにした。

「ホルモン」「腸内環境」がハックすべき最も重要なパートだと考え、まずは「ホルモン検査」から始めた。正直健康には自信があったのだが、すると驚くべき結果が判明したのだ。

コルチゾールというストレス対抗ホルモンがほとんど出ていない状態で成長ホルモンは低値、激しい酸化ストレスにさらされ、それに対して抗酸化力は弱っていた。さらに卵と乳製品とアーモンドに対する遅発型アレルギーも見つかった。僕の好物はカルボナーラと燻製のナッツなのに・・・。

そしてさらに、なぜか高濃度のカドミウムと水銀が検出された。
つまり、自信を持てるほど健康的だとはとても言えない状態だったのだ。

僕なりにこのバイオハックを解釈するならば、メカニズムを正しく理解することでからだをハックし、最高の人生を送るための最適な体質づくりが可能だということである。
そのためには僕たちが日々体感している「結果」としての健康状態を、科学的に深掘り、その原因を解明する必要がある。

変化はすぐに訪れた

ホルモン検査とフードアレルギー検査を経て、僕はまずアレルギー物質を完全に排除した。乳製品にアレルギーがあることがわかったので、本を読んで始めたコーヒーにバターを入れるのもやめた。

そして、不足していることがわかったミネラルとビタミンを多く摂るようにした。
以前からサプリは飲んでいたのだが、それは一般的に必要だと言われるものを摂っていただけだ。今は自分が何を飲むべきかは明確だ。

からだが変化し始めるのに時間はかからなかった。

簡単に体重が落ち始め、以前厳しい食事制限と週3回のハードな筋トレで落としたときの体重よりも軽くなった。今ではどんどん落ちていくので、どの辺で体重を落ち着かせるか決めないといけないと思い始めている。ただ痩せればいいというものではないからだ。

お酒をどんなに飲んでも、翌日にからだがむくまなくなった。肌も荒れなくなって吹き出物もできなくなった。これらはわずか1カ月も経たない間に僕のからだに起こった変化である。

多くの日本人が乳製品に遅発性アレルギーをもっている多くの日本人が乳製品に遅発性アレルギーをもっている

バイオハックの旅を、一緒に

しかし、あらためて強調したいのは、人間には「個体差」があることを基本とすることだ。

僕があのとき本の内容を鵜呑みにしていれば、バターを摂取し続け、遅発型アレルギーに悩まされるはめになっていた。だから、あなたも僕の情報を鵜呑みにしてはならない。自分の個体差を知り、それを念頭におきながら、自分のからだをもって実践することが大切だ。

ただ、僕たちが試行錯誤して手に入れたノウハウをぜひ「一例」として参考にしてほしいと思う。『CATALYST』ではこれから、読者が自分の裁量で健康のDIYを進めるための実践的メソッドを提供していく。失敗も重ねながら蓄積した情報は、きっとあなたなりのバイオハックの資料として役立ってくれると思う。

僕はまだバイオハックの入り口にいるが、それでもその効能には驚いている。そして、これからのバイオハックの旅が楽しみでならない。自分はどこまでバージョンアップしていけるだろうかーー。

バイオハックが読者の皆さんの人生をより豊かにすることを願ってやまない。ようこそ、「バイオハック」の世界へ!

200種類以上の栄養素を解析できるツール バイオハックにオススメ!
http://bio-hack.jp/controller/index.php

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