3人に2人が発症「遅発性アレルギー」とは

2017.1.18

「朝起きられない」「集中力がすぐ切れる」など、「病気ではないただの不調」と片付けている症状に慢性的に悩まされている人は多いだろう。実はそれらの原因は「副腎疲労」である可能性が高い。副腎疲労とは、日々のあらゆるストレスに対抗するためのホルモンを分泌する臓器「副腎」が疲労している状態をさす。

前回の記事では、『CATALYST』編集部の松本がその副腎疲労であるかを診断すべく、渋谷セントラルクリニックで「ホルモン検査」を受診した。ストレスに対抗するためのホルモンの分泌状況から、副腎の疲労度とその原因を明らかにするためである。
検査の結果、松本はストレスとたたかう主要なホルモンである「コルチゾール」が正常に機能しなくなり、女性ホルモンのバランスが崩れていることが発覚した。さらに、女性であるのにもかかわらず、「男性ホルモン」が過剰に分泌されているという結果が明らかに。健康に気遣っていたはずの彼女にとってはショックなものであった。
特に女性読者には、ホルモンバランスの崩れに気をつけてほしい。体調不良や体質変化だけでなく、今多くの人が悩んでいる「不妊」の要因にもなりうるからだ。前記事では、その対策としてストレスを減らすためのライフスタイルの見直し、主には「食生活の改善が必要である」と結論づけた。
だとすれば、次は「どのように食生活を改善していくか」が課題となる。しかしその前に、Catalystの読者に注意してほしい「落とし穴」がある。それが、「遅発性アレルギー」である。「健康的」と言われる食材が必ずしも全員に有効というわけではなく、場合によっては体調がさらに悪化してしまうおそれがあるのだ。

3分の2以上のひとが発症している「遅発性アレルギー」とは

「私はアレルギーなんてないよ」という人がほとんどだろう。だが、みなさんの多くが知っているアレルギーはおそらく、「即時性アレルギー」と呼ばれるもの。特定の食べ物を摂取してから「すぐに」ショック反応を引き起こすたぐいだ。
それに対して、今回取り上げる「遅発性アレルギー」は、特定の食材を摂取してから症状が出るまでに数時間から数日間もの時間を要する。だから、アレルギーの原因の特定が難しく、本人も自分がアレルギーをもっていることに気づきにくいのだ。
日本で一般的に行われているアレルギー検査は即時性のみ。しかし、米国で遅発性アレルギー検査を提供するUSバイオテック研究所によると、即時性アレルギーがない人のうち「3人に2人」はなんらかの遅発性アレルギーをもっているといわれている。
遅発性アレルギーの認知度が世界的に低いことや医師の間でも賛否両論あることもあり、患者が症状にアレルギー反応が関与していることに気づいていない場合も多い。ちょっとした頭痛日中の眠気、便秘・下痢、肩こりなどの体調不良が、実は遅発性アレルギーによって引き起こされている可能性もあるのだ。
ちなみに、日本人の遅発性アレルギーは、日本人が今まであまり食べてこなかった食材に出やすい傾向にある。食が欧米化して摂取量が著しく上昇した卵や乳製品、小麦に対して陽性反応を示す人が多いのだ。そしてそれらの食材は、日本人の食卓にあまりにも溢れている。

好物が体調不良の原因に? 3人に2人が発症している「遅発性アレルギー」とは

好物の生姜に重度の遅発性アレルギーが発覚

自らの遅発性アレルギーを特定するための検査方法は非常にシンプルだ。前回のホルモン検査と同じように採血をして、それを医師が分析するのみ。アレルギーレベルは0〜6の7段階で結果が示され、「レベル3」以上が陽性、つまり何らかの対策が必要であることを示す。
松本の場合、「生姜」に対してアレルギー反応が認められた。しかもその高い陽性反応から、3~6カ月間は口にしないことが医師から推奨されてしまった。生姜はからだを温める効果や解毒作用があり、特に女性の間ではどちらかといえば「健康的」なイメージが広く浸透しているにも関わらずだ。さらにいえば、松本の好物でもあった。
アレルギーが出てしまうのは、腸管の免疫反応が大きな要因とされている。もともと腸内環境が悪く、免疫力が低下している状態にある腸に頻繁に未消化の食べ物が通過したことにより、アレルギー物質になってしまっていることが多いとされる。
献立の偏りも要因になりうるので注意が必要だ。特に一人暮らしの人などはどうしても「好物」や「手軽さ」という理由で同じ食材を選択しがち。しかし、気をつけたほうがよい。連日同じ食材を食べることが多いと、食材の有害性を正しく分解するからだの能力が追いつかなくなることがあるからだ。
松本は生姜以外にも、牡蠣や乳製品、バニラにも遅発性アレルギーが出た。これらについては生姜ほど深刻ではなく、週に1度ほど摂取するのは問題ないレベルだ。だが、もちろん摂らないに越したことはない。
検査を受けると100品目以上の食材に対する正確なアレルギーデータが測定される。費用は渋谷セントラルクリニックの場合、アレルギー検査のみだと37,800円、他の採血検査と同時に受ける場合は31,500円。検査を受けるのもよいが、まずは普段の食事と食後数時間〜数日後の体調を振り返り、体質改善の手がかりがつかむことから始めてもよいかもしれない。

対策はアレルギー物質を一定期間摂らないこと

遅発性アレルギーを起こしていると、永久にその食材を摂取できなくなるのか? これに対する答えは、幸い「NO」だ。
最善の策は、アレルギー反応が出た食材を一定期間摂らないこと腸内環境を整えることを意識すること。そうすることで、からだに適さない物質を分解する能力が回復する。症状が改善すれば、また少しずつ摂取してもからだが体調不良を起こさなくなる。
取材した渋谷セントラルクリニックの河村医師によると、遅発性アレルギーで頻繁に検出されるのは乳製品、卵、小麦とのことである。これらはあまりにも多くの現代食に使われてしまっているため排除するのはかなり難しい。ただ、こうした条件に適いやすい改善メニューは「和食」である。
和食であれば卵や乳製品を使わない料理も多い。ご飯と味噌汁、魚と副菜が含まれていることが多いため、良質なタンパク源を確保でき、必要栄養素が大きく不足することもない。また、発酵食品も多く、腸内環境を整えるには最適な食事といえる。腸内環境を整えるというとヨーグルトを思い浮かべる人も多いかもしれないが、植物性乳酸菌を含有する味噌や醤油、ぬか漬け、日本酒など、和食では選択肢も比較的多い。
和食で気をつけなければならないのは、野菜不足。理想的な食事の比率の目安は一般的に野菜:タンパク質:炭水化物=3:2:1だと言われるが、和食だと野菜が不足しがちである。そのため、和食メニューにサラダを追加するとよいだろう。また、塩分の摂りすぎにも注意したい。
他にも、スーパーに行った際に前回も買った食材を続けて買わないよう意識するのもいい。献立の偏りが解消されるからだ。
遅発性アレルギーと検査に関してより詳しく知りたい方には、渋谷セントラルクリニックのウェブサイトにあるこちらのページ「遅発性アレルギー検査」にアクセスしてほしい。

分析後は健康に最短ルートでアプローチできる

遅発性アレルギーの解説は以上である。ここまで3記事にわたって、「副腎疲労」を取り上げてきた。「朝起きられない」「集中力がすぐ切れる」など、誰もが経験したことがあるような症状と、あまり知られてこなかった「副腎」の関係について知っていただけたと思う。最後にあらためておさらいしたい。
副腎疲労は、主にストレスにさらされすぎることでストレスに対抗するホルモンであるコルチゾールが副腎から正常に分泌されなくなったり、正常にはたらかなくなることから引き起こされる。ストレスと言っても、その要因はわれわれがイメージしやすいはたらきすぎやうまくいかない人間関係などだけではない。思わぬ要素がからだにとってはストレスとなりうる。
前出の河村医師によれば、副腎疲労の主な要因は不適切なライフスタイルであり、もっともアプローチするべきは食事だ。その食事に正しくアプローチするために、本記事では「遅発性アレルギー」を取り上げた。
遅発性アレルギーは特定が困難だ。しかし、検査を受けることでアレルギーがどの食材からきているかが特定できる。そうすることにより、あやまった食生活の改善によってさらなる体調不良に陥るリスクを軽減し、副腎の回復を促すことができる。

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