先端テクノロジーとドローンの融合 現実化する近未来世界

2017.1.20

ドローンと融合、実用化が進むテクノロジーを紹介しながら、ドローンがもたらすであろう大きな変化を考察していく。

ドローン元年の2015年

ドローン元年と言われた2015年。
DJI社のPhantom3を筆頭に空撮用ドローンが急速に普及した年だ。

Image title2015年のドローン元年を象徴するDJI社のPhantom3

一方で、DJI社のほかにも数多くの企業がドローン市場に参入し、市場は一気に飽和状態となった。

これは、米ラスベガスで今年1月に開催された世界最大の家電見本市「CES 2016」でも明らかだった。
ドローンのコモディティ化によって、ドローン企業は差別化を迫られているのである。

Image titleCES2016で発表された人乗りドローン 中国企業Ehangの「184」

このことを考慮すると、2016年はドローンと別領域のテクノロジーが融合し、新たな価値創造が広がり始める年になりそうだ。

そこで『CATALYST』では、ドローンと融合、実用化が進むテクノロジーを紹介しながら、ドローンがもたらすであろう大きな変化を考察してみたい。キーワードは以下6つ。

・「世界最小FPVドローン」
・「無線給電」
・「LTE搭載ドローン」
・「DMX 512」
・「GPS100倍の制御」
・「賞金1億円

ドローンと融合するテクノロジー

「世界最小FPVドローン」
テクノロジーの発展でドローンに搭載するフライトコントローラーなどのパーツを小型化することが可能となり、超小型で高性能なドローンも徐々に出始めている。

このほど米ニューヨークのAxis Dronesという企業が、世界最小のFPV(1人称視点)ドローン 「VIDIUS」を発表し話題となっている。

Image title世界最小FPVドローン「VIDIUS」

この超小型FPVドローンはおもちゃという位置付けだが、搭載されているテクノロジーは産業用途にも応用できるもの。
超小型ドローンに自律飛行のプログラムを搭載し、ひとが行けない、または大型ドローンでは行けない場所に飛ばすことが可能だ。高層建造物の検査、人命救助などさまざま用途での利用が想定できる。

「無線給電」
ドローン利用で大きな課題となっているのが飛行時間に大きく関わるバッテリーだ。現地点ではリチウムポリマー(LiPo)が主流となっているが、マルチロータータイプのドローンではそれほど飛行時間は伸びない。
代替バッテリーの模索が続くなか、バッテリーを使わずドローンを飛ばすという画期的な研究も行われている。

立命館大学の道関研究室の院生グループが開発したのは、マイクロ波で給電しながら飛ぶドローン。2015年に米コロラドで開催された国際会議IEEE Wireless Power Transfer Conference 2015 のStudent Hardware Demo Competition部門で、無線給電によるドローンの浮上デモンストレーションを実施し、第1位(最優秀賞)を受賞したという。

無線給電技術が実用化すれば、ドローンの飛行領域は一気に広がり、新たな可能性を提示することになるだろう。

「LTE搭載ドローン」
ネットワークにつながったドローンもそれほど遠くない未来に登場しそうだ。半導体大手のIntelがこのほどLTEネットワークにつながったドローンの開発で、モバイル回線キャリアのAT&Tと提携すると発表したからだ。

LTEをドローンに搭載することで、これまでネット回線がなかった場所・空間とネット空間をつなげることができるので、山間部や海上でもネットが使えるようになる。そうなると、ひとの住む領域は山や海に拡大していき、私たちのライフスタイルを大きく変えることになるかもしれない。

「DMX 512」
DMX512とは、照明の動きや光をコントロールする技術。
一組の信号ケーブルで1チャンネルしかコントロールできなかったアナログ方式に比べ、デジタル信号を採用したDMX512は一組の信号ケーブルで512チャンネルをコントロールすることができる。
この技術自体はそれほど新しいものではないが、ドローンと融合することで「空間の情報化」という新たな可能性を生み出している。

これまでドローンは1台を独立させて飛ばすことしかできなかったが、ドローン制御技術の発展で複数のドローンを意のままに飛ばすことができるようになった。ドローンの動き、そしてドローンに搭載した照明をコントロールすることで、これまで何もなかった空間に情報を投影することができるのだ。

「GPS100倍の制御:RTK」
ドローンの制御にはこれまでGPSが採用されていたが、GPSでは10メートル前後の誤差が生じる場合がある。その誤差を数センチメートル単位に縮小できるのが、リアル・タイム・キネマティック(RTK)だ。RTKはもともと測量の領域で発展した技術だが、今後ドローンへの応用も進む見込み。

この技術を利用することで、ドローンを使った配送や複数ドローンを使った編隊飛行の精度を高めることが可能となる。

「賞金1億円:ドローンレース」
今年3月にドバイでドローンレース世界大会「World Drone Prix」が開催されたのをご存知だろうか。
賞金総額はドローンレースとしては史上最大の100万ドル(約1億2000万円)だ。15歳の英国少年Luke Bannisterさんが優勝、2500万円総額の賞金を獲得し話題となった。

Image titleドバイで開催されたドローンレース世界大会 賞金総額は史上最大の100万ドル

この世界大会を主催したドバイに拠点を置く国際ドローンレーシング組織「World Organisation of Racing Drones」は、World Drone Prix をシリーズ化する計画で、今後アジアや欧州、米国などで開催される可能性がある。

ドバイは、2017年末にドローンなどを含むロボットを使った近未来スポーツ大会を開催する計画で、今回のドローンレース世界大会は、来年のスポーツ大会への布石として読み取ることができる。

ドローンレースは欧米でも盛り上がっており、オリンピックのモータースポーツ部門に採用されるかもしれないと噂されるほどだ。
北米ではドローンレースリーグが発足、アジア域内でもアジアカップが計画されるなど、各地域ごとに盛り上がりの様相を呈している。

Image titleゴーグルを装着し、時速100km以上出るドローンを操縦には反射神経の鍛錬が求めれる

つい先日、空撮ドローンで市場シェアトップのDJI社もレースドローン用のパーツ(ESC)を発売開始した。DJI社に続き今後さまざまなプレーヤーがレースドローン市場に参入してくるのは間違いないはずだ。

レースドローン用のフライトコントローラー、モーター、ESC、FPVカメラなどのパーツも日々進化しており、1年後には予想もつかないようなプロダクトが出てくるかもしれない。

筆者はこのほど中国・深センを訪れたが、3日という短い滞在期間中に水素燃料で4時間以上飛行するドローンやドローンレース・アジアカップ開催計画など、ドローンを取り巻く環境がめまぐるしく変化していることを感じることができた。

Image title中国・深センの企業MMCが開発した水素燃料ドローン 飛行時間は4時間35分

米テスラ・モーターズが自動運転する技術を実用化したが、これほど早く実用化されると予想していたひとは少ないだろう。
ドローンも同じで、今回紹介したテクノロジーだけでなく、さまざまなテクノロジーを取り込み、私たちの予想を超えるスピードで日々進化している。

またドローンだけでなく他のロボティクス分野や人工知能分野の進化も凄まじく、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ドラえもん』『攻殻機動隊』などSF映画やアニメに登場する近未来の世界がどんどん現実化している。

変化を楽しめるひとにとって、今が歴史上最もエキサイティングで充実した時代なのではないだろうか。

取材・執筆 :

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先端テクノロジーとドローンの融合 現実化する近未来世界 DRONE · 2016.04.18 · 細谷 元

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