有機野菜は「美味しい」とは限らない 農業に関する本当の真実#02

2017.1.19

前回、「農業」=「エンジニアリング」、つまりは再現性のあるビジネスであること、そして農薬と歩留まりの問題について今回は、「有機野菜」=「美味しい」そう一般的に思われている常識の誤り、そして将来、再現性のある農業を実現しビジネスを拡大するために、現在の日本の農業が解決すべき課題について語る。

有機野菜だから美味しいは間違い

渡辺:TEDで「虫が食べる野菜は美味しいというのは嘘」とおっしゃっていました。この美味しいというのはどういうところで美味しいと。無農薬だから美味しいというのは関係がないんですか?

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古荘:そうですね。無農薬とは全く関係ないです。美味しいというのは、味が濃い、香りが強い、くさみが少ない、歯ごたえがあり筋張っていない、このくらいの条件がそろうと美味しいと言ってくださるんですけれど、これを出そうと思うと、肥料をできるだけ絞って、栄養バランスを調えてあげる必要があるんです。この状態を作ると、そもそも歩留まりが良くなっちゃうんですよ。

渡辺:なるほど。農薬がいらないというだけであって美味しさとは関係ないんですね。これは、僕も含めて多くの人はそこを勘違いしてますね。無農薬だと体にはいいだろうけれど、無農薬だから美味しいんだって思い込んでいる。
有機野菜は美味しいんですか。

古荘:いや、有機野菜でも下手な有機栽培の野菜はやめたほうがいいです。かといってストレスなく育てる野菜は美味しいかというとこれも難しくて、野菜によってはストレスを与えたほうが美味しくなるものもあると感じています。

渡辺:ブドウは水が少ないところのほうが根を奥まで張ってミネラルを吸収するからより美味しいみたいな。

古荘:そうですね。成長上、必要なストレスというのもありますし、ストレスが味わいになる作物もあります。たとえば、辛味や苦味を楽しむ作物などはある程度ストレスを与えたほうが辛くなりやすいです。
普通の野菜だったらストレスがないほうが美味しいんですけれど。たとえば緑茶に関しては、大量の肥料を入れて作るほうが高級とされる味に近づくので、そうやって栽培されるのが一般的なんです。

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渡辺:なるほど。和牛ですごいサシが入った牛は高級で美味しいみたいな感じなんですかね。

古荘:そうですね。結局、健康なものが美味しいとは限らない。健康という意味でいうなら、赤身の牧草肥育牛とサシが入った黒毛和牛だったら牧草肥育の牛のほうが健康にきまっているじゃないですか。でもサシが入っている肉のほうが高いし、美味しいと思う人が多い。だから必ずしもリンクするわけじゃないので、慎重に考えないといけないことだと思っています。ただ、一般的な野菜に関しては、健康状態が高いものがさっきの条件を充して、美味しいものが多いです。

渡辺:オーガニックショップとかで、有機とか無農薬とかのラベルだけで判断してもしょうがないというとこなんですね。

古荘:そうですね、実際のものを見てみないとわかりません。

渡辺:見てわかるようになるんですか。

古荘:見てわかるようになるものもあるし、見た目だけで、判断できないものあります。(笑)
たとえば、キャベツはわかりやすくて、下から見ると五角形なんですよ。それが成長の途中でストレスがあると形が崩れていくので、五角形がきれいな正五角形に近いものはだいたい美味しいです。

渡辺:へー!そういうノウハウ本があったらほしいですね。確かに、オーガニックの店にたまに行くんですけど、見た目、全部が全部、健康そうではないなと思っていたんです。そういうことなんですかね。下手な有機栽培しているところとか。

古荘:言葉は悪いんですが、有機栽培やっている方で、有機栽培やっていることが目的になってしまって野菜の品質は追い求めていらっしゃらない方もかなりいらっしゃるので。

渡辺 かなり!?何割くらいですか。

古荘 控えめに言ってそれなりに。。。

渡辺 控えめに言わないとほとんどっていう 笑

古荘 そこまでは思わないですが、優先順位として無農薬であることの方が味を求めることより上という方は多いかもしれないです。なのでそういうところで美味しいものを探すのは必ずしも正しくない。

ノウハウを提供して再現性のある農業でビジネスを拡大

渡辺:将来的にこの農業ビジネスは拡大していくのか、ちゃんと儲かるようになるのか、どう思われていますか。

古荘:そうですね。僕たちがやっているという意味では、単純に生産量を増やしたいというのがひとつと生産量を増やすことによって、品質管理のノウハウがたまってくるので、どのぐらいのものであれば、どのぐらいの美味しさが実現できて、どのぐらいの値段が付けられるのかノウハウを貯めていきたいですね。

渡辺:ノウハウを提供して、その農家が作る形とかですか。

古荘:そうですね。フランチャイズなのか、どういう形になるかはわからないですけれど、一定の基準さえできたら、違った形での広がりもあり得るかなと思っています。

渡辺:そういう再現性がある農業はどんどん広げられるし、それはいろんなエリアで使えますね。

古荘:そうですね。そこで問題になるのは、組織論的なことなんですが、個人農家さんの集まりだと一人一人が品質管理の責任を負っているので品質がバラバラなんですよ。
たとえばよくあるのが、一人だと出荷量が足りないから、何人かでグループを作って出荷する。そうすると取引先の人から、誰々さんのは美味しいけど、誰々さんのは美味しくないから外して、みたいなことで揉めることが多いんですよ。
これって会社組織ではありえないじゃないですか。みんながフラットだからそういうことになっちゃうわけで。

渡辺:そうですね。やっぱり品質管理のリーダーみたいなのがいて、そのやり方に従って他の人が同じものを作って量を生産する。

古荘:その辺が課題ですね。

古荘氏のこれから成し遂げたいこと

渡辺:最後に今後の目標とか展望があれば教えていただけますか。

古荘:僕たちが本格的に生産を始めたのが去年の春でちょうど一年で本格的にスタートするのが実はこの秋なんです。品質については有名レストランのシェフにも高く評価いただいているので、あとは出荷体制を安定させてなんとかモデルケースになるくらいに大きくしつつ、完成形の提供を来年の春には開始できるようにしていきたいなと思っています。

展開サービス:http://farandmer.com/

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農業はエンジニアリングー従来の農業のあり方が変わる#01

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