不妊やうつも改善する、先端医療「ホルモン分析」とは?

2017.1.18

「朝起きられない」「集中力がすぐ切れる」「楽しくない」など、病気とは思いもしない症状に悩まされる人は多いだろう。実はそれらの原因は「副腎疲労」かもしれない。前回の記事では、体調不良が「副腎」が疲弊することで引き起こされている可能性について解説した。

先端医療ホルモン分析とは?

人間はホルモンを分泌し、ストレスに対処している。ストレスと言っても、職場の人間関係や忙しさからくるものだけではない。

タバコの煙や大気汚染、寒暖差や騒音なども、からだにとってはストレスとして捉えられるため、ひとは避けることができない。

さまざまなホルモンは副腎から分泌されるが、副腎が酷使されると疲弊してさまざまな体調不良を招いてしまう。そのため、ストレスを減らすことはもちろんのこと、対抗力をいかに備えるかも重要である。

ストレスへの対抗力を最大限に高める鍵は「食習慣」にある。ただ、ひとが必要とする栄養素には個体差があり、科学的に分析しないことには適当な予防策が取れない。そこで本記事では、個人にとって必要な栄養素を特定すべく、編集部が実践形式でからだの分析を行った模様をお伝えする。

この記事では

・実践する女性のライフスタイルを紹介
・「ストレス」を測定し自分の現状を把握する
・元気ホルモン「コルチゾール」の枯渇が発覚
・「女性の男性化」が始まっていた
・女性ならではの病気、不妊のリスクも
・診断結果は「副腎疲労」、体調改善のための道筋は?

を説明する。

実践者は忙しくはたらく現代女性、過去にはうつの診断も

ホルモンハックを実践するのは、マイクロアド社に勤める松本未央。当メディア『CATALYST』のGlobal PR担当として忙しくはたらいている。彼女が今回の実践者に選ばれたのは、体調不良に悩む現代女性なら心当たりがあるであろうライフスタイルを送っているからだ。

彼女は前職時代の5年前に「うつ診断」を受けたことがある。勤務先の医師から「今すぐ休養が必要だ」と仕事にドクターストップをかけられるような状況にもかかわらず、まだ仕事をしようとしていた。人一倍責任感が強いからなのかもしれない。客観的にみれば明らかに体調を崩しているのに、
本人は仕事を優先してしまったのだろう。

彼女は医師から処方された薬を飲まなかった。実際に投薬により得られる効果には個人差があるし、自分に合ったものが見つかるまで時間を要すことも多い。その上、薬には副作用もあるので体調が悪化してしまうことも少なくない。より良い改善策は原因を取り除くことだと、感覚的に薬を避けたのかもしれない。

原因を断つため、南米でしばらくの療養。それを経てすっかり復調した。マイクロアド社に転職してからは、さらに仕事が充実し始めたという。ただ、シンガポール支社に赴任してからはますます忙しくなり、海外出張など移動も非常に多くなった。アジアを中心に働いているため、時差の心配はないがいつも疲労感に見舞われていたという。

そんな折、『CATALYST』の監修役である渡辺を通じて副腎疲労について知り、インターネット上でできる自己診断をしてみたら症状がほぼ確定した。30歳を過ぎたあたりから仕事とプライベートのバランスを調整していかなければならないとは考えており、さらにはからだの変化を感じ、まずは自分の現状をしっかりと分析することにした。

「ストレス」を測定し自分の現状を把握する

検査のために「渋谷セントラルクリニック」を訪ねた。クリニックに到着し、まずは詳しい問診表を記入する。内容は前回の記事でも紹介した副腎疲労の自己診断テストと同様だ。

ストレスを断ち切る最短ルート「ホルモン分析」の知られざる効果効能

また、体組成計で体重、体脂肪率などを計測。ご存知の方も多いかもしれないが、体組成検査は身長・年齢・性別を入力後、指電極を持ちながら体重を測ると、「Body Mass Index(BMI)」の値が出る。身長に対する体重のバランスで「肥満度」を判定する国際的な基準。それにより身体の筋肉量や脂肪量がわかる。

ストレスを断ち切る最短ルート「ホルモン分析」の知られざる効果効能

続いて、ホルモン分析の中核をなす「ストレス反応」を測定する。冒頭でも述べたが、副腎からホルモンが正常に分泌されることで、からだはストレスに対処している。つまり、ストレスへの反応力を測定することで、自分が副腎疲労であるかが大まかにわかるのだ。

松本は「自分では食生活は気遣っている」と認識していたが、どうやら十分とは言い難いようだ。保存料や添加物を避けるため、コンビニ飯やファストフードは基本食べない。オーガニックのものを可能な限り取り入れていたが、盲点は質が良くない醤油や酢など調味料にも添加物が含まれていることだった。

医師いわく、現代人のストレスは大きく「糖化ストレス」と「酸化ストレス」に分けられる。糖化ストレスは、糖質の過剰摂取に加え、揚げ物や焼き物を筆頭に加熱調理された食品を摂取することにより「AGEs」という物質が蓄積して引き起こされる。放置されると、皮膚の老化や動脈硬化、白内障、糖尿病などの大きな病気へとつながっていく。

今回の検査では、この糖化ストレスの数値も計測した。

ストレスを断ち切る最短ルート「ホルモン分析」の知られざる効果効能

松本は実年齢より10歳以上も高い数値となってしまった。30代前半でここまでの数値が出るのはめずらしいという。

これにより、ストレスによって副腎が疲弊している可能性が高いことが予測されたが、確定診断をするためにより詳細なデータを調べることに。患者としても、カウンセリング内容と分析された科学データが一致することで腑に落ちることも多いだろう。

元気ホルモン「コルチゾール」の枯渇が発覚

副腎疲労の予測精度をさらに高めるために必要なデータが、もう一方の「酸化ストレス」である。金属が酸素に触れ続けることで錆びるように、人間のからだも錆びてしまう。すると、からだの老化や機能不全へとつながってしまうのだ。

長期間にわたってストレスを受けているかを判断する一つの策は、「コルチゾール値」を測ることだ。コルチゾールは、副腎が分泌するストレスに対抗するためのホルモンの一種。「元気ホルモン」とも呼ばれ、正常に分泌されていればストレスにさらされていてもからだをベストな状態に保つことができる。

コルチゾール値は、一般的な血液検査と同様に採血を行うことで測定可能だ。検査結果は採血から約2週間ほどで出る。

ストレスを断ち切る最短ルート「ホルモン分析」の知られざる効果効能

結果、松本のコルチゾール値は3.5microgram/dl。平均値の6.2microgram/dlをかなり下回った。

コルチゾール値は一日のなかでも変動しており、松本が採血をしたのは、コルチゾール値が高くなくてはならない時間帯であったにもかかわらず、正常の下限よりも低い値であった。慢性的にストレスにさらされてしまっているため、副腎が疲弊しておりコルチゾールが正常に分泌されなくなってきていることが推測された。

コルチゾールが正常に分泌されなくなり、ストレス耐性が弱まるとからだのさまざまな箇所で炎症が起きる。アルコールやタバコ、不眠、フードアレルギー、有害金属などのストレスを受け止められずに体調不良へと繋がってしまう。

「女性の男性化」が始まっていた

個人差はあるものの、長期間にわたってコルチゾールが分泌される状態が続くことによって男性ホルモンや女性ホルモンの元となる「DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)」にも異常をきたすことがある。

松本の場合は、DHEAが過剰に産生されているという診断を受けた。このことから推測されるのは、副腎がコルチゾールを分泌するために過剰にはたらいているかもしれないということ。ただし、副腎も無限にホルモンを分泌できるわけではない。ストレスがかかり続けると、近い将来、DHEAの値も低下し始めるとのことだった。DHEAが低下すれば、ストレスに対抗できる機能がどんどん失われていく可能性があるということになる。

はたらきすぎや競争にさらされた環境に身をおく機会が多い社会では、男性ホルモンの分泌を促進してしまう場合がある。男性ホルモンはやる気を増幅させたり、適量な筋肉を作るのに女性にとっても良い作用もある反面、女性ホルモンのバランスを崩す一要因にもなる。

男性ホルモンの過剰分泌は、いわゆる「女性の男性化」を進めるリスクもある。進行が進むと、一般的には男性の特徴である胸毛が生えてきてしまう人もいるそうだ。男性ホルモンの過剰分泌の原因は主にストレスであるため、無用なストレスを受けないようにすることが重要だ。

一番怖いのは生理や妊娠、出産など女性特有の生命活動に悪影響をおよぼす可能性があることかもしれない。女性ホルモンは「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」に分けられ、それぞれ異なる役割があり女性らしさを維持するために相互作用している。

二つの女性ホルモンがバランスよく分泌されていることにより、基礎体温が正常に保たれる。それをもとに女性ならではの活動はうまく機能するのだが、女性ホルモンのバランスが崩れることで正しく機能しなくなり、のちにはおそろしい病気に繋がってしまう可能性もあるのだ。

女性ならではの病気、不妊のリスクも

ここまで述べたような女性特有の生命活動を正常化するためには、エストロゲンとプロゲステロンのバランスを保つことが重要である。
エストロゲンはいわゆる「美のホルモン」で、肌や髪の毛のハリやツヤを保つ役割を担い、バストアップやウエストを引き締めてくびれを作る作用がある。

一方、プロゲステロンはエストロゲンの効果を安定させる「良きパートナー」とも言え、エストロゲンの良さを引き出すために不可欠だ。
エストロゲンが過剰になると気分のムラや偏頭痛、むくみなどの症状が出る一方で、プロゲステロンは、精神を安定させたり、むくみを改善させる機能を果たす。

その主な作用である精神安定力にちなんでアメリカではプロゲステロンは「ハッピーホルモン」とも呼ばれている。
エストロゲン過剰になる要因はストレスの蓄積や偏った食事などが挙げられるが、「環境エストロゲン」にも注意したい。

環境エストロゲンはエストロゲンと同じような作用をする物質で、牛の餌に含まれていたりコンビニのプラスチック容器などから溶け出す成分に含有されている。それらがエストロゲン過剰を誘発している場合がある。エストロゲン過剰の症状に心当たりがあるひとはオーガニックな乳製品も検討し、プラスチック容器の加熱を避けてみるといいかもしれない。

エストロゲン過剰を放っておくと、はたらく女性にとっては特に悩ましい現実が待っている。仕事で一定以上のパフォーマンスが求められるなか、PMS(月経前症候群)の症状に苦しんで対処療法的に薬などで抑え込むひともいる。しかしそれでは体質がさらに悪化するおそれがある。妊娠しにくくなったり、乳がんや子宮内膜がんのリスクが高まったりする。

診断結果は「副腎疲労」、体調改善のための道筋は?

ストレスを断ち切る最短ルート「ホルモン分析」の知られざる効果効能

松本の場合は、エストロゲンは適量分泌されている一方で、プロゲステロンが基準値が下回ってしまっていた。そのため、エストロゲン過剰と言えるそうだ。

DHEAも低下していたことがわかった結果、「副腎疲労の初期段階」であることと「食生活の改善が必要」と診断された。その他、成長ホルモンが年齢相応に分泌されていないことやビタミンBとDが理想値より低下していること、亜鉛が必要量より低下していることもわかった。

検査の結果をあらためて整理すると、

・体調不良の主な要因は「ストレス」とそれに対応するためにホルモンを分泌する「副腎」の疲労にある。
・副腎疲労を確かめるために、ホルモン分析の中でも「コルチゾール検査」と「DHEA検査」を取り上げた。
・コルチゾール検査では、血液を検査することでストレス耐性が機能しているかを調べることができた。今回の結果では、コルチゾールが正常に分泌されていないことがわかった。
・ホルモン検査では、女性ホルモンと男性ホルモンの分泌量を調べることができた。今回の結果では、エストロゲンのはたらきが優位かつ男性ホルモンが過剰分泌されていることがわかった。
・女性ホルモンバランスが崩れることは「女性特有の生命活動への支障」につながる。
・ストレスを十分に受け止められなくなってきており、放っておくと大病に発展してしまう可能性が高いことが疑われた。

これらの結果は松本自身にとってはショッキングな内容ではあったものの、大きな病気につながる前に自分のからだの現状が分かったことは大きなメリットだ。からだにストレス負荷を蓄積させないライフスタイルに変更するためのデータが揃ったとも考えられる。

改善の鍵となるのは、「ライフスタイル」、その中でも特に「食事」だ。信じがたいかもしれないが、適切な栄養素を摂取することで症状はかなり改善できる。

人間のからだには本来体内のさまざまなストレスを除去し、自然治癒力を機能させ健常な状態を保つ機能が備わっている。一般的には日本人に不足しがちなビタミンDは免疫力を高め、ミネラルや微量元素を補給することで有害物質の排出を促し、からだのさまざまな機能を活性化することができる。ただ、人それぞれ必要な栄養素には個体差があり、自分が必要とする栄養素を見極め、摂取することが重要だ。

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