移動式オフィスで目指す、仕事・遊び・暮らしの融合

2017.5.25

キャンピングトレーラーを活用したモバイルオフィスのプロジェクト『OFFICE CARAVAN』。彼らが実践する、仕事と遊びを融合した働き方について聞いた。

モバイルオフィス『OFFICE CARAVAN』とは?

究極のモバイルオフィスを目指すプロジェクト『OFFICE CARAVAN』をご存知だろうか。

クリエイティブなオフィス空間をプロデュースするTRAIL HEADS代表の山口陽平氏とオンラインモーターマガジン『DRIVETHRU』ディレクターの神保匠吾氏が始めたプロジェクトだ。

彼らが移動式オフィスのベースにしているのは、けん引免許を必要としないキャンピングトレーラー『ルーメット』。

今回の取材場所は、現在そのルーメットが停まっている東京の檜原村。島を除く東京都唯一の村だ。

普段は都心をメインの拠点にしている彼らは、モバイルオフィスでどのように仕事をしているのだろうか?プロジェクトの発起人のお二人に話を聞いた。

—『OFFICE CARAVAN』のプロジェクトは、どのようなきっかけで始まったんですか?

山口陽平(以下、山口):2015年の秋に僕が「モバイルオフィスはできませんか?」と神保さんに相談したのが始まりです。当初は官公庁払い下げの消防車の後ろ側を全部オフィスにしちゃうようなことを考えてました。


山口陽平氏(写真左) 神保匠吾氏(写真右)

神保匠吾(以下、神保):最初はトレーラーよりも運転席付きの車がいいと話していて、ランドクルーザーの消防車や、ロケバスみたいなサイズのトラックとかを見てたんです。でも結局、どこにも着地できずに一旦保留になりました。その後、半年後くらいに山口さんから連絡があって、「やっぱりルーメットでやろう」という話になって。それからはどんどん具体的に物事が進むようになりましたね。

オフィス機能を切り離し、手ぶらで帰れるのがメリット

—ルーメットにした理由とメリットは?

山口:運転席が付いてる車をモバイルオフィスにすると、例えばこういう檜原村のような場所に来て仕事した際にまた運転して帰らなきゃいけない、というのがあります。そうじゃなくて、いい場所を見つけたらそこにオフィス機能を置いて、切り離して帰る。

それでまた車でさくっと来て、仕事をして帰る。その方が楽だし、そんな動きをイメージできるのがルーメットでした。

神保:モバイルオフィスとして車内のスペースを使うことを目的とする場合、運転席はデッドスペースになって、収納も何もできません。また、運転席付きの車だと、ちょっとした移動の際も毎回あれこれ車内を片付ける必要があります。

自然の中でも働く環境はオフィスと同じ緊張感

山口:モバイルオフィスをつくる時のコンセプトとして、自然の中に持って行きたい、というのがあったんですけど、ボヘミアンみたいな働き方は嫌で(笑)。

自然の中にありつつも、働く環境はオフィスと同じ緊張感のある作りにしたかったんです。

テールゲートをドカッと開けた時に自然との距離がグッと近付いて、緊張が一気に解き放たれて世界が変わるっていうのも特徴ですね。

神保:街なかの人と同じ緊張感で会議してるけど、窓の外はすごい自然というのを意図してやってます。

山口:だからオフィスチェアもあえてキャスター付きの普通のものを使ったり、天板を白にしたり、街なかのオフィスの環境にできるだけ近くしてます。

神保:集中力とかクリエイティブなパワーを高めることを考えた時に、混み合った街の喧騒の中でやるのか、それとも鳥のさえずりが聞こえるような環境でやるのかで、たぶんインスピレーションが変わってくると思うんですよね。

東京のど真ん中で10時間会議してどうにか生まれるようなことが、ここに来てパッと話したり考えたことがつながって何かが生まれる、みたいなことが必ずあるだろうなと思っていて。

早起きしてトレラン、水浴び、仕事の後はBBQ

—何日かモバイルオフィスに滞在して仕事をすることもありますか?

山口:ありますね。一番長かったのは去年の夏、山梨の北斗市のキャンプ場でのアウトドア映画祭の会場構成の仕事の時です。

このルーメットをキャンプ場に持って行って1週間、現場を事務所にしてそこで働きながら、キャンプ場の構成もし、都内の仕事もやるというのを1週間、山の中で続けました。

—その時の仕事のやり方や、1日の過ごし方は街なかの時と比べてどう違いましたか?

山口:寝床はルーメットの中ではなく、テントを張ってキャンプをしました。まず朝いつもより早く6時半とかに起きて、みんなで山の中をランニングして、そのまますごくきれいな川に飛びこんで水浴びして、上がってきてみんなでコーヒーを飲んで、朝ご飯をつくって。

じゃあそろそろ仕事しようかなっていうとまだ9時とかで、普段よりもスタートが早いくらい。

それから日中は普通に仕事してお昼や夕飯は、みんなでBBQをしてという感じでした。キャンプやBBQ、トレイルランニングのようなアクティビティーと仕事がすべて融合された時間の使い方は、街なかでは絶対にできないですよね。

僕らの会社では、ただ働く場をつくるんじゃなくて、仕事にも暮らしにもいい影響を与える「遊び」を融合した世界をつくることをテーマに掲げていて、それをキャンプ場ではよく体現できました。

—キャンプ場のような所でパソコンやスマホで仕事をする時に、例えばキャンプチェアでただやるだけなのと、しっかりオフィス環境があるのとでは全然違いそうですね。

神保:それはかなりあります。このルーメットの部屋は、扉を閉めるとすごい静かなんです。なんかシャキッとするんですよ。よし、やるかみたいな。

外で雨が降ってる時も、ここに入ったら確実に快適だし。

車なんですけど、いつもと同じ姿勢で仕事できるのが大きいです。

満員電車と自然の中の、どちらで仕事をスタートさせるか

—モバイルオフィスを実践し始めた中で、今後の課題は?

神保:電力のオフグリッド化でしょうね。電気自動車関連でいろいろ仕込んでるプロジェクトがあって、そのバッテリーの技術があるので、それを持ってこようかなとは考えてます。やっぱりエアコンや、人が多くなるとMacの充電とかで電気を食いますからね。

山口:ソフト面でいうと、これはすごい大きなテーマだと思うんですけど、やっぱり仕事に追われちゃうようなメンタルでいると、モバイルオフィスを楽しめないですよね。

仕事単体で考えると都内にいた方が急を要する案件でも人に会えたり、便利で集中もできるとは思うんです。

でも都内だと仕事場に着くまでに多くの人が満員電車に乗って仕事をスタートさせますよね。
それに対して、例えば今日のように朝6時に起きて、7時に檜原村に着いて釣りをして、9時には仕事モードになる、みたいな1日のスタートは時間の使い方として素敵だなと思うんです。

働く場を暮らしや遊びにつなげていくことを最終のゴールとしたならば、モバイルである必要はなくて、もう少しいろんな人が集められる場所になったらいいなと思います。

イメージは、別荘地とかではなくコンパクトな山のコミュニティーのような。それが日本各地いろんな場所にできて、みんなが横でつながれたらいいですね。

—都心から檜原村まで高速道路を使って車で1時間前後と聞くと、案外近いな、自然の中でのモバイルオフィスを体験してみたい、という人も多いんじゃないでしょうか。東京に限らず他の場所でも、モバイルオフィスを置いて仕事をするのにいい場所がいろいろありそうですね。

山口:檜原村のモバイルオフィス『OFFICE CARAVAN』は近々、一般の方も体験できるように今、準備しているので、興味がある方はぜひチェックしていただきたいですね。

OFFICE CARAVANのサイトはこちら。 http://officecaravan.jp

協力:檜原村観光協会

取材・執筆 :

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