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『Catalyst』創刊に寄せて

2年半前から日本と海外を仕事で行き来するようになった。一般的には35歳を過ぎると自らが強引に環境を変えない限り成長が止まると言われているらしい。それなりに仕事がこなれて来た年齢になると環境の変化が徐々に減ってきて新しい価値観と遭遇する機会が減ってくる。

僕は成長するためにそういう環境に変えたわけではなく自分の中の飽きを感じて危機感を感じたからだ。もちろん仕事上の必要性も感じていた。

『Catalyst』創刊に寄せて

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当然ながら仕事で会う人も変わるし行く場所も変わる。新しい発見も疑問にも多数出会うことになる。結果として興味の対象が爆発的に広がった。

『Catalyst』創刊に寄せて

色々なジャンルに興味を持ち体験し勉強していくうちに面白いことに気が付いた。それは一見関係ない分野のものが最終的にはどこかで繋がっているということだ。これは決してスピリチュアルな観点から言っているわけではなく、全てはロジカルに繋がりを説明できることであり、最終的にはビジネスになるということだ。

現代は産業そのものが突然死して消えて無くなる時代だ。ガラケーは一瞬にしてスマホに駆逐され、スマホのプラットホームで課金するソーシャルゲームはわずか数年で数十年間の時間をかけて成長してきた据え置き型のゲーム機を市場のシェアを奪った。日本で一番裾野が広いと言われている自動車産業も10年以内に電気自動車の台頭によって深刻な危機を迎える可能性は高い。

これはテクノロジーの進化のスピードが産業というフレームを作るスピードを超えたからだと思う。ただそれは悪いことではないはずだ。

『Catalyst』創刊に寄せて

産業という言葉を業界という言葉に置き換えてみるとわかりやすいとおもう。例えばUberというテクノロジーはドライバーに働く機会を増やし収入の総量も増やした。利用者にはスマホがあればどこの国でも簡単に使えピーク時も追加料金を払えば長い行列に並ばなくても済むという利便性を提供した。そしてお互いがお互いを評価する仕組みを整えることである種の秩序を作ろうとしている。ここだけを見ればドライバーにも消費者にもUberは良いことしかもたらしていない。しかしタクシー業界からみるとUberは脅威であり認めがたい存在だ。何故ならUberの仕組みはタクシー業界の必要性を否定しているからだ。そしてこの構造を私たちは10年前に音楽業界で目にしている。これからも私たちは似た様な風景を見ることが何度となくあるだろう。

『Catalyst』創刊に寄せて

ドライバーも利用者も個人でありテクノロジーの進化は個人に恩恵をもたらすのだ。すなわちテクノロジーの進化は個人にとっては喜ばしいことなのである。ここで言う個人とは消費者と生産者の両方を意味している。割りを食うのは進化のスピードに追いついていけない業界なのだ。

面白いメディアが無いという声が聞こえて久しい。自分自身も同じように感じる。一方面白いこと自体は日に日に増えている。驚く様なテクノロジーとの出会いは増えている。新しいテクノロジーは増えていて個人の可能性は拡大している。

なぜメディアが面白くないか。それはメディアが個人ではなく業界に向けて作られてるからではないか。そしてメディアをメディアという業界が作っているからではないかと思う。テクノロジーの進化により個人がメディアを持てるようになって久しい。しかし、そのような個人に向けたメディアはまだ少ない。そのような個人に対してテクノロジーの視点で色々なテーマを取り上げることで幾つかの繋がりを見つけられるのではないか。それが個人にとっての、ひいては新しい社会の未来になるのではないか。そのような触媒と『Catalyst』がなれば幸いである。

Editorial Supervisor  Kentaro Watanabe

Editorial Supervisor  Kentaro Watanabe



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