ユニフォームでロボットカルチャーをーロボユニが目指す未来の世界#2

2017.7.31

ロボットが服を着ただけでひとの心理は大きく変わる。ロボユニ導入企業の事例で見えた未来のロボットコミュニケーションの形とは。

ユニフォームでロボットと人間の円滑なコミニュケーションを実現しようと挑戦する「ロボユニ」。前編ではロボユニ開発プロデューサー、泉 幸典さんに現代社会におけるロボットテクノロジーに対する認識ギャップ、そしてその問題を解決する手段として誕生したロボユニ・コンセプトについて聞いた。

後編となる今回は、実際にロボユニを導入した企業で見られた人間とロボットの関係の変化など未来を考える上で重要な示唆を語ってもらう。

泉 幸典 ロボットアパレルブランド「ロボユニ」開発者

服を着たことで県民として認められたロボットも!?

ー先ほどユニフォームというのは視覚的な認識記号であって、人間社会に溶け込む円滑なコミニュケーションのためには不可欠な要素で、そしてそれはロボットと人間のコミニュケーションでも成り立つ可能性があると伺いました。実際、ロボユニはどのようなところで導入され、どんな効果が出ているのでしょうか。

いまは主に案内用のPepper向けに導入させてもらうことが多いです。

効果については、みずほ銀行さんや沖縄銀行さんから、Pepperに服を着せてからお客さんの接し方が変わったと聞いたことが印象的でした。

銀行のPepperはよく受付のところにいて、待合室にいるひとたちと接する機会が多いんです。昼間だと子供を連れてくるお母さん方が多いんですけど、そのときPepperが服を着ていると子供たちはよく戯れるらしいです。服を着る前は人とロボットとの一定の距離があったみたいなんですけど、服を着たら親近感が一気に沸き距離が近くなるみたいです。

いままでPepperは裸だったから、何ができるのか分からなかった。でも、みずほ銀行さんの事例だと、Pepperが法被を着ることでイベントっぽくなって、何かトピックスがあるんだろうなという期待を持ってもらえる。つまり人間の心がロボットに近づこうとするということです。

ーたしかに。法被という認識記号が機能しているということですね。

そうです。あと服を着るとロボットにパーソナリティが出てくるんです。沖縄銀行の大城様から聞いたんですが、いままでは裸のPepperだったから「Pepper」として見ていたのが、かりゆしのオリジナルロボユニを着させた途端に仲間と思う意識が強くなったと。人間のもつ帰属意識です。

沖縄銀行さんは3体のPepperに、おっきー、おきまる、結丸(ゆいまる)とそれぞれ名前を付けているんですよ。沖縄銀行さんが一般公募で名前を募ったら、地元の小学校とか中学校、高校からものすごい数の応募があったみたいです。

ーたしかに、服を着たPepperはゆるキャラ的の要素があって人気が出るのかもしれませんね。

そうかもしれませんね。Pepperはユニフォームを着たことで、沖縄県民として受け入れてもらったと、沖縄銀行大城様が言っていました。服を着たことでPepperが地域に溶け込んで、地域の一員として認識されているようです。

ーPepperが地域コミュニティの一員となるということですよね。コミュニティの定義もこれまでのものとは違うものになりそうですね。

そうなんですよ。服を着たロボットがコミュニティをつくる1つの核になり得るんです。

Pepperなどのロボットが服を着ることで、そのロボットがいるお店ではお客さんがロボットと接する滞在時間が長くなる傾向がある。するとそのロボットを中心としてコミュニティができる可能性は十分にあると思います。

ーPepperのほかにはどのようなロボットのユニフォームをつくっているのですか。

シャープさんのRoBoHoNや講談社さんの鉄腕アトム、FRONTEOコミュニケーションズさんのKibiro、AKA社さんのMusioなどのロボットメーカーさんと公式提携させて頂いています。

ーこれからどんどんおしゃれで使命を持った個性のあるロボットが世に出てきますね。

実証実験を繰り返したロボットユニフォーム開発

ー服を着せるだけ、人とのコミニュケーションがすごく変化する。そう考えるといろんな服を着せてみたいという衝動に駆られますが、どんな服でも良いというわけではない。

そうですね。普通の服を着せるとロボットの可動域に小さな負荷がかかったり、熱がこもって故障したり、燃えたりする危険があります。

以前に一般の方が製作した衣装をロボットに着用させて私達が通常行う独自の実証実験をしたことがあるのですが、1時間でオーバーヒートする温度まで上がって、そのまま躍らせたら3時間で故障する寸前まで到達してしまい限界ってなって非常停止ボタンを押しました。

ロボユニのユニフォームはこれまで何十回も試行錯誤してたどり着いた先端素材やデザインを取り入れているため独自の技術や特許などから設計されています。Pepperだったらオーバーヒートなしに踊らせることができます。

ー1つのユニフォームをつくるまでどれくらいの期間を要するのですか。

みずほ銀行さんのPepper用法被は30回くらい試行錯誤して完成したんです。1回目は動かすとビリッて破れて、2回目以降は熱がこもって。改善に改善を重ねて、構想からPepperに着用するまで半年くらいかかりました。

ー1回型をつくればそのパターンを応用して、あとはデザインを変えるだけということですか。

それが意外とできないんですよ。半袖と長袖で温度が変わったりして。服の色だけを変えるのなら、同じ型を使えますが、デザインが変わると全部実証実験からやらないと同じデータが出ないので難しいんです。

でも、いままでの試行錯誤の経験からある程度こうやったらこうなるという予測ができるので、失敗経験をたくさん積んできたせいか開発は随分と早くなりました。

Pepper発売前からロボットスタートさん、システムトランジスタさんご協力のもと、独自に実証実験データをつくってきたことが評価されて、ソフトバンクロボティクスさんと公式提携して世界初の試みをすることになったんです。

ロボユニを着せたPepperが故障した場合、ソフトバンクロボティクスさんが補償してくれるという制度です。

アパレルとロボットテクノロジーを数字でデータ化してシンクロさせ、Pepperを補償対象内に入れるというビジネスモデル。制度としても、ビジネスモデルとしても、世界で初めての試みになります。

ロボットアパレル界のアルマーニを目指して

ーロボユニは今後どのようなところを目指していくのでしょうか。 

ぼくは、ロボットアパレルを新しいカルチャーにしたいと思っていて、市場を全部取りたいわけではないんです。

この分野ではもしかすると中国の企業が台頭してきて、ロボットアパレルのマスを取りにくるかもしれません。そうなるとお金の話になってくる。

でも、ロボユニは、ロボットアパレルメーカーのパイオニアブランドとしてアルマーニやフェラーリ、カルティエみたいなポジションを目指しています。

ーカルチャーとして普及させるにはマーケットの拡大が重要になってきますよね。普及させる一方で、カルチャーとしてロボットアパレルのクオリティとステータスを高く保つ必要がある。

市場が広がって第2、第3のブランドが出てきたとき、パイオニアとしてできるだけピラミッドの高いところにいないとだめだと思ってます。

パイオニアが下に降りてしまうと、ピラミッドが低くなってしまう。

そうなると一気に激安競争のビジネス化が進んで、4〜5年で飽和状態になって、新しい市場も、新しいカルチャーもつくれなくなってしまうので。

「人の豊かさをロボットと共に」という使命を実現するために人間やロボット業界のお役にたてたらと思います。

ロボユニ公式サイト:http://robo-uni.com/

ソフトバンクロボティクスPepper公式サイト:http://bizapp.robot.softbank.jp/robodeco.html

取材・執筆 :

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