人工知能に労働を任せる時代-シンギュラリティ-#02

2017.1.19

「エクサ」の規模感、可能性にふれた第1回。
目もくらむような速さでテクノロジーが進化していることを感じていただけたと思う。第2回は加速度を加速させる人工知能、そしてその進化でなくなる雇用について語る。
仕事がなくなるということは究極の自分事ゆえにさまざまな場面で議論されている。しかし「エクサ」と人工知能の進化で創られる未来では、議論することさえ無意味なものかもしれない。

シンギュラリティが認知され始めた2016年

齊藤 元章(以下:齊藤):シンギュラリティもそうですが、「人工知能」という言葉がこれだけ毎日メディアに出るとは誰も想像しなかったですよね。1年前にようやく出始めて、2年前だとほとんど誰も気に留めてなかった。

いま「人工知能」という言葉が使われている頻度で、来年のいま頃は「シンギュラリティ」という言葉が使われるようになっていて、もっともっと変化が加速していくはずです。

渡辺 健太郎(以下:渡辺):未来が思ったより早く訪れる、大きく変わっていくということを感覚としてイメージできるんですけど、加速していることを体感しているひとは増えていると思うんですよ。
だから仕事が半分なくなるということが、5年前だとそんなことあるわけないとなっていましたが、いま言われるとたぶんそうなるんだろうなと。

齊藤:そうですね。そのような実感が伴ってくるわけですが、ただ仕事の半分がなくなるといったことは、正直どうでもいいことなんですよ。

渡辺:なるほど。

人工知能でなくなる雇用とは?

齊藤:雇用がなくなるといったことは枝葉末節の話なんです。人工知能というのは、新しい産業革命の蒸気機関、スチームエンジンなんですよ。

たとえば、250年前の産業革命のときに何が起こったのかを少し思い出してみましょう。当時ジェームス・ワットが外燃機関である蒸気機関を発明しました。それによって何が起こったのかというと、それまで人間とか家畜が行っていた肉体系な労働・生産・作業を全部ではないですが、かなり置き換えたわけですよね。

そして人間は、ほかの仕事ができるようになりました。
ブルーカラーからホワイトカラーの仕事が増えたわけですよね。芸術が盛んにできるようなったとか、余暇が増えたとか、生活が豊かになったりしました。

しかし、現在から250年前を振り返ってより大事だったことは、人間や家畜ではできなかった規模の工事や事業ができたり、大型の生産設備をつくって、それを動かすことができるようになったので、大型の機関車が動いたり、船で大きなものを輸送できるようになったりしたことです。

やがて外燃機関から内燃機関になってジェットエンジンになると、これも50年近く前の話になりますが、遂に人間を月面まで運んでしまった。明らかに、人類の大きな進化が実現されたことに繋がったわけです。

だから、現代の我々の生活を考えた時には、人間や家畜ができなかったことをできるようになったという事実の方が、遥かに大きな意味を持ちます。
これは人工知能がこれから果たす役割にも言えて、今回は肉体的労働ではなくて人工知能が、まずは知的な労働・生産・作業を置き換えるようになります。

しかし、より大きなインパクトは、人間ではできないようなまったく新しい知的な労働・生産・作業を人工知能が担うようになることです。このことの方が、はるかにインパクトが大きいことへの理解が必要です。
だから、仕事が5割なくなってしまうと考えるひとが多いのですが、もっと重要な違った側面があって、それがまもなく実現され、その方がはるかに意味が大きいということを、我々人類はそろそろ議論し始めないといけないのです。

渡辺:著書にも書かれていましたけど、2つの”ふろう”のうちの、労働しなくて、働くなくていいという方の不労を手に入れる。

齊藤:仕事が奪われるというよりは、労働から開放されるということですね。

渡辺:それは思ったより早く来るんだということが見えてきて興味深いなと。そうなったとき、いま何を準備したらいいのかということを考えるようなってます。

齊藤:そういう議論をすることは大事で、真剣に議論し始めないといけないタイミングが訪れています。

「仕事がなくなってしまう」ということ以上に注目すべきことはいままで人間では不可能だったことが可能になった、いわば文明の進化のインパクトの大きさだ。
「エクサ」が実現すれば、人間を超え、人類を超え、人びとが想像もつかない世界に連れて行ってくれるかもしれない。

次回は地球規模の課題にどう立ち向かうのかについて。続きはこちら

 

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人工知能に任せる時代 労働から開放された人間はなにをすべきか-シンギュラリティ-#02

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