自動運転車がもたらす移動の革命ーー車内は「第3の空間」へ

2017.3.27

1950年代、60年代に登場したジェット旅客機や高速鉄道以来のブレークスルーと言われる「自動運転車」。
なぜここまで注目されるのか。移動に革命をもたらす自動運転車の可能性に迫る。

自動運転時代の到来か

インターネットやスマートフォンの普及で社会は大きく変化したが、「移動」の歴史においてはこの半世紀大きなブレークスルーはなかったと言われている。

ひとびとの移動を大きく変えたのはジェット旅客機、そして新幹線に代表される高速列車だ。

飛行機

これらが登場したのは1950年代、60年代。登場以来さまざまな改良が加えられ、速度や安全性などが改善され、より速く便利に移動できるようになってきたが、そのインパクトは漸進的なものだ。

しかし、半世紀を経て移動に革新的変化が起ころうとしている。

それは、自動運転車の登場だ。

なぜ自動運転車の登場が革新と言われるのか。

今回は、自動運転車はどのような社会的インパクトをもたらすのか、そして個人の移動にどのような影響を及ぼすのかを考えてみたい。

自動運転車の社会的インパクト

自動運転車が普及したときに予想される社会的インパクトとして挙げられるのが、自動車事故の大幅削減だ。

マッキンゼーレポートでは、米国では90%の自動車事故がなくなるだろうと試算している。

また、事故が減ることにより、損害補償や医療費など事故に付随するコストも年間1900億ドル(約21兆5000億円)節減できるという。

日本では毎年50万件の自動車事故が発生しているが、もし90%の自動車事故を削減できるなら、45万件少なくなる計算になる。

世界全体ではどうだろうか。WHO(世界保健機関)のレポート(2015年)によれば、世界全体の交通事故死亡者数は年間125万人、負傷者数は5000万人に上り、この状況はさらに悪化することが予想される。

現在、交通事故は9番目に多い死亡原因だが、2030年には7番目に悪化するというのだ。さらに年齢別に見ると、15〜29歳の年齢層では交通事故が、自殺やエイズ、殺人などを抜いて最大の死亡原因となっている。

現在73億人の世界人口が2030年には84億人に達すると予想されていることからも、もし自動運転車が事故を大幅に減らせるのら、その影響は計り知れないものになるだろう。

交通事故の大幅減少のほかには、自動車保有数の減少につながる可能性があると言わている。

自動車は住宅に次ぐ大きな買い物だが、その使用頻度はばらつきがある。
自動車を持っているものの、毎日の通勤には電車を使うので、自動車に乗るのは週末だけというひとは多いはずだ。

一部の識者らは、複数人で自動運転車をシェアする方が合理的で、もし自動運転車のシェアが増えると、近い将来「自家用車」という概念は消滅するかもしれないと指摘している。

シェアすることで自動車購入コストや運用コストを大幅に下げることが可能となり、所有したときに比べ80%以上のコスト削減ができるとの試算もある。

また、自動車が所有するものからシェアするものへと変わることは、保険業や自動車販売代理店業、ガソリンスタンドなど自動車を取り巻く産業構造が大きく変わることを意味する。

構造の変化に伴い、充電ステーションなど自動運転車向けのインフラが整備され、既存交通システムに自動運転車を組み込むための法律・規制が整備されるなど社会全体が大きく変わっていくだろう。

自動運転車は家でもオフィスでもない「第3の空間」に

自動運転車の進化を「個人の移動」という視点で見ると、とても興味深い。

それは、自動車が家でもオフィスでもない「第3の空間」になるということだ。

現在のの自動車において運転者であれば社内の時間は、運転のみ限定される。
しかし、完全自動車運転が実現すれば、運転以外の活動を行なうことができるようになる。

メルセデス・ベンツが世界最大の家電見本市CES2015で披露した未来の自動車「F 015」。自動運転車の未来を表現したコンセプトカーだ。


メルセデス・ベンツがCES2015で発表したコンセプトカー「F 015」(メルセデス・ベンツウェブサイトより)

メルセデス・ベンツがF 105を通して示したのは、自動車は単なる移動手段から生活空間に進化するという未来に他ならない。
完全自動運転になることで、自動車は仕事をしたり、リラックスしたりする空間に変身する。


メルセデス・ベンツが提示する自動車の未来(メルセデス・ベンツウェブサイトより)

このような未来が実現するのはいつごろなのか。

米国の規格団体SAEが定める自動運転レベル(0〜5の6レベル)に即すと

レベル4(自動化率80〜90%)に到達するのは2020年以降

レベル5(自動化率100%)に到達するのは2020年後半以降

とされている。

2017年からはレベル2(自動化率20〜40%)からレベル3(自動化率50〜80%)への移行期とされている。

話題となったテスラの自動運転はレベル2だ。

2020年以降レベル4に到達すると、極端な悪天候や悪路を除き、人工知能が運転のほとんどを担うようになり、ひとは座ってるだけになる。
レベル5では、ハンドルやアクセルなどが消え、ひとは運転にまったく関与しなくなる。

自動運転車が広く普及するには技術的課題だけでなく法的課題などさまざまな課題をクリアしなければならないが、過去にジェット旅客機や高速鉄道がそれらの課題を乗り越えてきたように、自動運転車も必ず課題を乗り越え広く普及するだろう。

テクノロジーの進化速度が加速していることを考えると、もしかすると予想以上に早く実現するかもしれない。あなたなら「第3の空間」をどう活用するだろうか。

国内における自動運転技術についてはこちら

取材・執筆 :

シゲキ的?

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自動運転

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