営業日は月に1日だけ。チーズ工房【千】sen店主の気になるライフスタイルとは?

2017.2.2

今、働き方やライフスタイルの新しいあり方が注目されるなか、ユニークな働き方と営業スタイルを持ち、なおかつ繁盛しているあるお店があると知った。基本取材は受け付けていないよう。店主の貴重なライフスタイルについて伺った。

チーズ工房【千】とは

東京から高速を使って、車で約1時間30分。千葉県は夷隅郡の山奥にひっそりと佇む、リノベーションした古民家にチーズ工房【千】senはある。

近くに駅はなく、車でしか行くことができない。加えて、なんと営業日は月に一度だけ。にも関わらず、唯一の営業日には、遠方からたくさんのお客さんが訪れ、賑わいを見せている。いったい、どういうきっかけで、このチーズ工房【千】senをオープンすることになったのか。その営業スタイルとライフスタイルどちらも興味深く、いったいどんな働き方をしているのか気になった。そこでお店をひとりで切り盛りする店主柴田千代さんに話を聞いた。

チーズ工房 千
店主 柴田さん

彼女がこだわるチーズ作りのルーツとは

「チーズを作るきっかけは、添加物の本を読んでこのままでは、日本の食事がめちゃくちゃになる、なんとか豊かな食事を取り戻したいと思ったことが始まりです。。一方、保存食は、添加物がなくても長く美味しさを保てる。なかでも発酵食品は栄養価が高くて、昔から伝統的に続いている添加物のない保存方法。そこでチーズに行き着いたんです」

思い立ったが吉日、柴田さんは大学進学の際、チーズ作りが盛んな北海道の東京農業大学オホーツクキャンパスを選んだ。ここは乳製品加工実習場を持っており、作業をしながら学問を学べる実学主義。

柴田さんはここで4年間びっちりとチーズ作りについて学んだ。そして就職活動を始めた矢先、ちょうど雪印の不祥事と重なって、大企業に入ることが必ずしも正しいことではないと気づいた柴田さんは手に職をつけるために、チーズ工房の門を叩くことになる。そこで2年半修行したあと、チーズの本場、フランスに留学。その後、ホテルなどで配膳の仕事をしながら開業資金を貯めた。

そしていよいよ2014年12月オープン。
チーズ工房 千
チーズ工房 千

こだわりの強いチーズ工房としてチーズ好き界隈に名を馳せているチーズ工房【千】sen。
そのこだわりについて聞いてみた。

「私のお店のチーズは他の店とちがってかなり特殊です。お客さんにも他のチーズ屋さんと何が違うの?とよく言われるんですが私は自分の手で菌を調合するタイプを実践しているところが大きな違いです。例えば、大手さんが使っている同じようなルートで乳酸菌を買うと袋の中にブレンドされた菌が送られてくるんです。それをホルスタインという大手さんと変わらない乳脂の中に入れると大体みんな同じようなチーズの味になるんです」
チーズ工房 千
チーズ工房 千

【千】senの一番の強みは、この菌の配合にある。季節によって気温も湿度も違う。そのためチーズを美味しく作るには味の根幹となる菌をうまく配合する必要があるのだ。

「私のチーズ工房は、菌を全部パーツ買いして、ひとつひとつ調合しています。0.01gまで計れるはかりで薬さじを使って毎回比率を調整することにしています。菌の数が一番多いもので7種類の菌を使ってるんです。乳酸菌だけで2種類とか。菌のなかには香りを出すのが得意な菌やタンパクの分解に強い菌などいろんな特徴があり、その菌たちの特徴を加味して調整し、香りが深く味わいの強いチーズを作るのが得意です。牧場も古民家のとなりにあって新鮮な牛乳を確保できる。それだけでも全然風味が違います。なかでもJapan Cheese Award 2016で銀賞をとった竹炭というチーズが自信作です。あとチーズと言えば洋風と思われるかもしれないですけど、あえてうちは和のテイストを売っていこうと思っているんです。クールジャパンとして受け入れられたら嬉しいと思っています。」

チーズ工房 千
すぐ隣には牧場も

月に1度のみのオープン、彼女の働き方とは

現在、柴田さんは今までの経験を生かし微生物の研究所で派遣として働き、チーズ工房【千】senを月に一度開くというダブルワークをしている。

もちろん、毎日のチーズの仕込みと手入れは欠かさないし、チーズ工房【千】senの雑務もすべてひとりで行なっている。彼女がどんなライフスタイルをしているのか聞いてみた。

「営業日の1週間前は最後の仕込みやフレッシュタイプのチーズの仕込みも重なって結構忙しい期間ですね。平日の朝だと朝起きて6時には工房に立っています。チーズの型抜きをして、チーズを熟成の棚にどんどん並べていく。それから出勤。帰宅後は、予約やお問い合わせメールにひとつひとつ返信していく。
月1営業って聞くとすごく優雅に聞こえるんですけど、全然そんなことはないんですよ(笑)専業にするには、あと3倍は売らないと成立しないですね。」

多忙を極める柴田さん、しかし自分の好きなことを毎日できる喜びの方が優っているそう。将来はどんな暮らしがしたい?

「山里の中で物件探しをしている時もそうだったんですけど、不動産屋さんで「どんな生活がしたいんですか?柴田さん」とめっちゃ真剣に聞いてくるので、「私、魔女みたいな暮らしをしたいんです」「ま、魔女ですか?」、「そうです。静かなところでチーズを発酵させて暮らしたいんです」って(笑)早くその暮らしを実現するためにもマーケットの大きい東京でも通用するチーズを作って叶えたいと思います。」
チーズ工房 千

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