日本全体を1つの「村」にーシェアビレッジが目指す未来の住み方・働き方#2

2017.5.19

31歳のシェアビレッジ村長が目指すのは日本全体を1つの「村」にすること。未来の住み方・働き方はどのように変わるのか。

村民は全国に2000人 急拡大するシェアビレッジコミュニティ

前編では、シェアビレッジをつくろうと思ったきっかけを伺いました。クラウドファンディングで資金集めをして、実際始められてどのような感触だったのでしょうか。

クラウドファンディングでは100万円ほどの資金を集めるのが目標だったのですが、応援してくれるサポーターが860人以上も集まり、結果600万円以上の資金調達ができて、注目されているのだなと実感しました。

武田昌大
1985年、秋田県北秋田市生まれ。関西の大学卒業後、東京の大手ゲーム会社に就職。秋田県活性化に本格的に取り組むため26歳で退職。現在「シェアビレッジ」村長を務め、プロジェクト全体運営に携わる。kedama inc.代表取締役。トラクターに乗る男前農家を集め秋田米ブランド「トラ男」を創設。

ー3000円の「年貢」を払うと村民になれて、いつでもシェアビレッジに来ることができるんですよね。

はい。クラウドファンディングでの募集は終了しましたが、シェアビレッジのホームページでは村民募集を続けています。

2015年5月に秋田のシェアビレッジ町村をオープンして、8月に「一揆」という地元アーティストによる音楽フェスを開催したんです。そのとき全国から村民が300人以上も集まって、ここは(シェアビレッジ町村)は10人くらいしか泊まれないので、地元の旅館とかホテルに泊まってもらったんですけど、全部満室になってしまって(笑)

ー経済効果があった。

経済効果のほかにも、音楽フェスには地元のおばあちゃんとかも来てくれて、一緒にお酒飲んだり喋ったりして、都会から集まったひとたちと地元のひとたちとの交流が生まれて、これがよかったと思います。

おばあちゃんたちも「年貢」って書いた封筒に3000円入れて握り締めてやってくる。「村長、年貢持ってきたよ」って感じで。

ーそれは楽しそうですね。そういうイベントだったり、そもそもシェアビレッジを始めるにあたり地元のひとたちは最初から快く受け入れてくれたのですか。

実は、いまこの家は地元のメンバーが住み込みで管理しているのですが、シェアビレッジを始めるにあたり、地元のメンバーが近所や集落の集まりに行って挨拶回りと説明をしてくれて、それで少しずつ理解してもらっている感じです。

このプロジェクトを通して気付いたことは、地方で何かを創り出すときには「都市移住型」と「地元密着型」の若者チームじゃないと難しいということです。

地元密着型だけだと新しいことを生み出しにくいし、「都市移住型」だけだと地元への信頼度が低いので、この2つがタッグを組めばよいと思うんです。

ーなるほど。では今後もシェアビレッジを増やしていくには地元密着型で活動しているひとたちを巻き込む必要があるということですね。ただ、そういうひとたちを探すのは簡単ではないですよね。

簡単ではないです。ただ、最近は向こうから連絡が来るんですよ。シェアビレッジの問い合わせフォームに「◯◯県の△△町にこんな家があって、私はこういう者で、シェアビレッジをやりたいんです」というのがバンバン来る。

ーシェアビレッジが増えると、村民はいろんな所に行けるようになる。

将来的にはシェアビレッジを12エリアにつくろうと考えていて、少しずつ増やしていく計画なんですよ。

ー2016年にオープンした香川のシェアビレッジ仁尾が2つ目。次はどこでオープンする予定ですか。

決まってますが、まだ言えません(笑)

もう12エリア分くらいの候補はあるんですけど、大事なのはひとなので。運営できる地元のひとたちがいるかどうかというのが大事なんです。ぼくが全部できるわけではないですし、結局地元を盛り上げるのは地元にいるひとたちなので。

移住者も続々 田舎の魅力を満喫できるシェアビレッジ

ー村民になってここ(シェアビレッジ町村)を訪れるひとたちは、どういうことを目的に訪れてるのですか。

ここの場合だと、秋から冬にかけて茅葺屋根の茅葺を刈り取る作業を、夏には茅を葺き替える作業をするんですけど、夏場にその作業をボランティアでしに来たり、近くの街で大きな祭りがあるときなどイベントに合わせて来たりというのが多いですね。それとイベントは関係なく、ただのんびりしたいから来るひともいます。

あと村民は現時点で約2000人いますが、その半分の1000人くらいが関東のひとたちなので、都市部のひとたちが第二の故郷を持つ感覚でここを訪れてます。

ー都会で生まれ育って田舎がないひとたちですか。

そうです。東京出身とかこういう田舎がなくて、リアルに田舎を求めているひとは多いですね。

子供を夏休みにどこかに連れて行きたいと思っても実家が東京なので田舎がないとか。そういうひとたちは夏休みに子供を連れて来るので、ここは子連れの家族で賑わいますよ。子供が畳の上を走りまわったり、近くの川で遊んだりとか。

田舎で何かやりたいと考えているひとや田舎に住みたいと考えているひとは、プレ移住の感覚で来ています。

ー実際、ここの村民になって移住したひとはいるのですか。

もう10組くらいは移住しました。この辺りに移住して、起業したり、子育てしたり。

ー香川のシェアビレッジ仁尾も同じような感じですか。

香川の方はまだ立ち上がって1年なので、まだまだ仕組みが整ってないですけど、いまがんばってつくっているところです。

香川は秋田と地域性が違うので、2つのシェアビレッジを行き来するだけでも多様性を感じられておもしろいと思います。

秋田県は土地が広くて人口密度が小さいので、外に出てもあまりひとに出会わないんですよ。なので、ひとに会って一緒にお酒を飲むということにすごく価値がある。秋田は酒の消費量も日本で2位というくらい、飲むとなったらみんな集まる。

一方で、香川は日本一小さな県でひとによく会うので、会うということに価値を置いていないんです。だから会ってお酒を飲むという文化もあまりない。

なので、どこに価値を見出すのかはまだまだ模索中なんですが。

ーでも、そういう地域性に触れるというのはとてもおもしろい。

いまシェアビレッジは2戸しかないから具体的に説明しにくいですけど、全国10戸くらいに増えてくると、自分の好きなところを選んで行けるコミュニティだと言えるようになるはずです。

これまでの古民家民宿って各々が「秋田においで」とか「香川においで」と集客していたわけですけど、もうそういう時代じゃないですよねと。

多地域連携というか日本全体を1つの「村」と考えて、国民は全員「村民」って感覚が大切だと思います。

気軽に田舎と繋がれて、「ここだけに来い」というのではなく、「どこでもいいよ」という緩さ、そういうのがおもしろいと思うんですよ。

ー多拠点を移動しながら生活するスタイルですね。たしかにその方がおもしろい。

シェアビレッジが目指す新しい住み方・働き方

だいぶ前からどこにいても仕事ができる時代になっていて、リモートワークやシェアオフィスが増えて、ネットワークにつながってさえいれば困らないですよね。

仕事の部分での多様化が進んできたのに、まだ「住」の多様化で進んでないと思っていて、たとえばシェアビレッジが12戸できたら、毎月好きなときに好きな場所に行って仕事ができる。もちろん住むこともできますし。

ぼくはこういう未来をつくりたいと思っているんですよ。都会から田舎というのもあると思いますし、田舎から田舎に移住するひとがいてもいいじゃないかと。そのために拠点を増やしていきたいんです。

ーいろいろな所に移動していると刺激があって仕事も楽しくなりそうですよね。

そうですね。シェアビレッジコミュニティには、高校生から80代まで幅広い年齢層がいるんですけど、多いのはネットを駆使して仕事をしている20〜30代のひとたちです。

都市部でやっていたビジネスを地方展開したいひと、地元に足りてないものを生み出そうとしているひと、地元の長所をビジネスにしていこうというひとさまざまです。これのいいところは、何かチャレンジできるという空気感が生まれることなんだと思います。あのシェアビレッジに行けば、そういう空気感を感じるだけでなく、そういうひとたちと繋がれる。

そういう仲間ができると、移住のハードルがすごく下がるのもいいですね。まったく知らない土地に行って、知ってるひとは誰もいない。これほど不安なことはないですからね。

あと、村民になったら東京で行っている「寄合」に参加できるんですけど、これも移住のハードルをぐんと下げるものになっていると思います。

寄合は毎月のペースで行っていて、秋田の料理やお酒を楽しみながら、都市部に住んでいる同じ志を持った村民と友達になれる。さらに、秋田と中継で結んで同時に飲み会をするので、地元の会ったことのない村民とも交流ができる。

これを毎月重ねると、都市部の村民だけでなく、田舎の村民も含めてどんどん友達が増えていく。

そこから「里帰」といって、シェアビレッジで大きなイベントを開催するタイミングがあって、都市部で仲良くなった村民どうしが「一緒に行こうよ!」となる。さらに、シェアビレッジにいる地元の村民とは寄合中継で仲良くなっているので「久しぶり!」となる。そしてまた村民どうし現地で一緒に酒を飲んで地元のひちたちとも喋る。それで東京に帰ってくるんですけど、これを繰り返していると最後は移住しちゃうんですよ(笑)

ー美味しいお酒と料理があって、仲間もたくさんいる。それは移住したくなる。「住」を多様化したいひとや田舎を探しているひとは一度シェアビレッジ村民になることを考えてみてもよいですね。今後いろんな場所にシェアビレッジが増えていくのを楽しみにしています。

取材・執筆 :

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