ドローン×農業 従来の農業のあり方を変えるパイオニア

2017.4.7

農業×ドローンの活動に取り組む北海道のお米農家。従来の農家のあり方から根本的に変えるため精力的に活動している。

北海道で有機農業を営みながらドローンジャパンと共に産業ドローンによる無農薬栽培の研究に取り組む市川範之さん。

そんな市川さんにドローンと農業の可能性、現在の取り組みについて伺った。

ドローンを活用することで変わる農業のあり方

—ドローンを活用して農業に取り組んでいるそうですが具体的にはどういった活用をされているのですか?

まず私のドローンによる無農薬栽培は農薬の代わりに北海道産の樹木を熟成させた虫が嫌がる臭いの特殊な木酢液をまくんですね。この農法は20年前年から始めましたが当時は産業用ヘリで木酢液を撒いていました。
しかしヘリからだと風圧が強いため至近距離でまくことができず効き目が弱いんです。

加えてヘリを活用する場合、散布を農協に委託するのでコストが高くかかってしまうのです。

一方でドローンでの散布は、低空で散布可能なので木酢の効き目が上がり、散布コストも軽減できるので無農薬農家には最適です。

ドローンを使ってこの木酢液を散布するコツさえつかめば、農薬を使う必要がなくなるりますし、農薬を使う生産者であるわれわれも農薬使用量が減ることで健康的な環境で仕事が出来ます。

市川さん

—農薬使用量を減らすとこができ、コストカットも可能とのことですが、実際コスト面はどれくらい変化するのですか?

例えば50ヘクタールの田んぼだったら、散布の委託料だけで年間150万円がかかるんです。プラス農薬費もかかるので農家にとってはすごく高いんですね。

ドローンに切り替えると1年で元が取れます。1200万くらいなので。

2年目以降から木酢液のみでよいのでざっと計算しても10年で1000万以上コストカットできます。

—そんなに変わるんですね。実際、農家の方がドローンを扱うのは難しかったりするのでしょうか?

ドローンは訓練すれば農家さん自身で使用出来ますが、航空法や操作技術を学ぶ必要があります。

まず、保険の加入と国交相の許可が最も重要でそれに加え、物件投下と危険物輸送の許可も必要です。

私は、現在の農水協の機体登録されている農業用ドローンが存在しない時から活用していましたので法改正後は国交相の許可を得て散布しています。

法的に飛ばす手続きは「国交相」。

実技や農薬取締法などを学び、安全に散布する講習を学ぶのは農水協などの民間の団体です。

初めて農業用ドローンを使用される方は講習も大切ですが、水田は場所によって形や木などの障害物もあるので自分の水田での実践の経験値が最も大切です。

私の場合、趣味も兼ねて水田や全国の景色を空撮していますが、これは農業用ドローンを操作する技術を磨くためにはもってこいです。

農業用ドローンの操作で重要なことは、常に操作感覚を身につけておくことです。なので日頃の訓練が必要になります。

—農家の方にはどのようなドローンがお勧めですか?

それぞれの農場規模や目的に合った農業用ドローンを使用すれば良いと思います。

私は、海外のメーカーのドローンも使用していますが、有機肥料の粒剤も散布しますので日本のメーカーのドローンも国交相の許可を得て使用しています。今だと10キロのドローンが主流になっているんですが、実際はそんなに大きいのは必要ありませんね。

現在の日本の生産者の水田面積でしたら34キロのペイロードでバッテリーを回転させれば十分です。

特に初めのうちはこのくらいのペイロードで散布したほうが事故のリスクが減りますし、水田一枚一枚に的確な量で散布出来ます。

農業のネガティブなイメージは意図的に作られたもの?

—私の勝手なイメージなんですが、若者の農家離れや長時間労働などネガティブな印象が強いのですが実際のところどうなんでしょう。

おそらく現在のメディアの影響ですね。

農家の方の「大変だ」という声やTPP反対などのネガティブな報道が注目される傾向にあります。実際はTPPが発効されても日本産の価値が高まるだけなんですが。
特に現在の政権に反感を持っているメディアはそういった傾向があるので新聞など情報メディアをいくつか見て全体の何割がそうなのか確認することが大切だと思います。

実際、豊かな農家もたくさんいますし、生きがいを持って仕事をしてる農業者がたくさんいます。

—長時間労働というわけでもないのでしょうか。

もちろん、種を蒔く時期に蒔き、収穫出来る時期に刈り取るので時期によっては長時間作業をします。

しかし、農繁期でない時期はサラリーマンよりも多く時間が作れると思います。

農繁期以外で長時間労働になるのは、私から見ても無駄な仕事が多い様に感じます。

ちょっとした工夫で効率的に作業を行うことが出来ますが、なぜか農家の方は効率が悪い作業でも周りと同じ事をしなければ安心出来ないという雰囲気があるように感じます。

農業は、ひと段落ついたら家族を旅行や買い物に連れてってあげたり趣味を楽しむ時間も多く作れますし、自分流のライフスタイルで仕事が出できる魅力的な職業だと私は思います。

メリハリのある農家のライフスタイル

—市川さん自身、どういう1年間の過ごし方をされているんですか。

私の場合、4月からお米づくりが始まります。田植えから雑草の処理などお米の成長に合わせた業務を行い、10月に収穫して出荷し、お米づくりは終了です。

11月から3月末までは次のお米の開発だったり、全国お取り扱い頂いているお店の担当者の方との企画や打ち合わせでよく東京に行きます。いつもドローンを持ち歩いているので東京、静岡、大阪と南下し、最終沖縄まで行き仕事の合間でドローンを飛ばしています。

空撮は趣味ですが農業用ドローンの操作技術を磨くためという大義名分がありますので十分趣味も仕事に繋がります。

市川農場

—最近、開発しているお米はどういったものですか?

スリムヒカリといって難消化性レジスタントスターチの成分が入ったお米です。胃で糖が吸収されないのでダイエット中の方でも安心して食べれるお米です。糖尿病の方にもオススメです。

市川農場
ドローンによる無農薬栽培で綺麗な水でしか咲かない絶滅危惧種のミズアオイの花も咲く。

—スリムヒカリを作るきっかけは?

近年の日本のお米は一昔前よりも粘りが強い傾向にあり、体に糖質が吸収されやすいお米が主流になってきています。なので太りやすく、糖尿病にもなりやすいです。

そうしたことから炭水化物を控え、お米を食べない方も増えてきています。

そこでお米を食べてダイエットに繋がるお米を開発できないかと思いました。ダイエットやスポーツで体重を減らしたい方のライフスタイルに合ったお米の提案をしています。

—今度はドローンを活用して農業を変えていきたいですか?

今後は、農業用ドローン開発も更に進み、本格的に活用することが出来るので自分以外の農家の方々に使ってもらう、広めていくことをミッションに活動していきたいですね。農業用ドローンにより出来るだけ農薬を使用せずに北海道の樹木で作られた天然の木酢液で散布する農薬不使用の農法を広げていきたいと思います。

消費者の方にも喜んで頂けますし、何よりも生産者が健康的に農作業が出来ます。

取材・執筆 :

シゲキ的?

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市川さん

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