八ヶ岳「週末移住」の先駆者が説くー若いひとほど実行すべき理由#01

2017.4.7

30年も前に20代で八ヶ岳での「週末移住」を始めたパイオニアがいる。彼は、若いうちに移住を体験すべきと説く。最近、若い実践者が増加している21世紀のライフスタイルとは。

30年も前に「週末移住」を始めたパイオニア

週末や平日の仕事終わりに近場のカフェなどの空間で仕事や勉強しているひとはどれくらいいるだろうか。

東京都内や各都市ではよく目にする光景だが、よくよく考えてみると1つの疑問が湧いてくる。

なぜ「家」でやらないのか、と。

都会に住んでいると当たり前になり疑問を持つことはないのだが、都会を離れ暮らすひとたちには異様な光景に映る。

家ではなくカフェで仕事や勉強をするのは、1人でいることが寂しい、家が心地良くなく集中できない、などが理由があげられるだろう。

30年も前に都会暮らしの違和感を人一倍に感じ、東京で働きながら20代で脱サラし、長野県八ヶ岳に拠点を構え「週末移住」を始めたパイオニアがいる。

ライフスタイルブランド「MORISH」代表、友枝康二郎さん(58歳)だ。週末移住から始まり、いまでは完全移住し八ヶ岳を拠点に活動している。移住希望者の土地探しから家造りまで暮らしのインフラに関わることを全般にサポートを行なっている。

今回前編・後編の2回に渡り、友枝さんが20代で週末移住を始めたきっかけ、完全移住した理由、そしていま若い世代が週末移住や多拠点居住をすべき理由をお伝えしていく。

友枝さん

友枝康二郎
モリッシュ代表。ライフスタイルデザイナー。1958年熊本生まれ。18歳で上京し、株式会社HONEYにて、ブランディングやイベント企画、ショップデザインに携わる。29歳で脱サラし30年ローンを組み、八ヶ岳のふもと長野県原村にログハウスを建てる。その後家族で週末移住を始め、41歳で家族が完全移住するも自身は平日東京・週末長野の2拠点ライフへ。2011年に完全移住。著書『週末移住からはじめよう: 田舎に小さな家をもつ2拠点ライフ』や自身のブログで精力的に新しいライフスタイルを発信している。

20代で八ヶ岳への「週末移住」を決めた理由

ー友枝さんが八ヶ岳に拠点を持たれたのが30年も前で、しかも20代でその決断を下された。なにがきっかけとなったのでしょうか。

当時ぼくは東京でイベント企画とかショップデザインの仕事をしていました。

出身は熊本でみなさんと同じように東京にあこがれて上京してきたのですが、結婚して家を買おうとなったときにいろんな疑問が湧いてきたんですよ。

多くのひとは、結婚したら何も疑わずローンを組んで都心の外れや関東近県に小さな家を買うでしょ。しかも36000万円とかかなりの額で買うわけですよ。

周りがそうだからと、みんな同じように家を買う。でも、買った家を見てみると、隣の家に手が届くような距離感で窓を開けることもできない。

それはちょっとおかしくないかと。

将来の子供の教育とかも考えて、東京ではなくて、違うところに田舎を持とうと思ったんです。

ー八ヶ岳に決められたのは、どういう経緯だったのでしょうか。

もともとバイクが好きで、キャンプツーリングに行くことが多かったのですが、八ヶ岳にはよく通っていて、そこが東京から近すぎず遠すぎずの距離で抜群の自然環境もある、景色も日本ではないみたいですごく気に入ったんですよ。

友枝さん

ーほかにも候補地はあったのですか。

ほかの里山も見ましたが、どうも寂しい感じがあってあまり気に入らなかった。

八ヶ岳は爽やかで別格な場所だなと思って。

それに東京からも2時間くらいしかかからない。

もうここしかないと思って、29歳で脱サラした勢いで八ヶ岳にログハウスを建てました。

ーそのときはまだ東京に住んでいて、八ヶ岳に来るのは週末だけ。

そうですね。29歳で週末移住を始めて、41歳で家族全員で引っ越しました。ただ、この時点ではまだ東京で仕事していたので、ぼくだけ2拠点ライフになりました。

ー脱サラの勢いでログハウスをつくってしまったと。綿密に計画はしていなかったのですか。

ぼくは計画性がないので、自分がいけると思ったら実行するタイプなんです。

いけると思うというのは、いろんな準備ができていると無意識で感じているからかもしれません。

逆に、いけると思わないときは、無理して実行はしません。無理するとうまくいかないので。

失敗もあるかもしれませんが、勢いで実行すると、失敗しても「こんなもんかな」とあきらめがつきますしね。

だから、41歳のとき家族全員で移住するときも、とりあえずやってみようよというノリで移住したんです。だめだったら戻ってくればいいだけですし。

やることって言っても住民票を移すだけなので。海外移住のような大層なことではないですから。

そんな軽いノリで来てみたら最高だったんですよ。

29歳のときにログハウスを建てた時点で移住すべきだったなと。今思うとなんでもっと早く移住しなかったのかなとすごく後悔しました(笑)

「週末移住」から「完全移住」へ 八ヶ岳から見える世界

ーどのようなきっかけで東京と八ヶ岳の2拠点ライフから、ご自身も完全移住されることになったのでしょうか。

52歳くらいのとき、2011年の震災で東京での仕事が全部なくなってしまったんですよ。

天地を揺るがすほどの大災害だから、これは仕方ないことだなと。東京では数年仕事がないだろうなと思い、これを期に八ヶ岳に完全移住することにしました。。

完全移住してからは、時間があったのでその辺を散策して写真を撮ってまわって、その写真をブログにあげていたら、だんだんアクセス数が増えてきたんです。そのうち移住の話を聞かせて欲しいとぼくを訪ねて来るひとが多くなりました。

八ヶ岳

八ヶ岳
八ヶ岳の四季 撮影:友枝康二郎

ーなるほど。それがいまのライフスタイルデザイナーの始まりだったんですね。話を聞きに来られて、実際こちらに移住された方はどれくらいいるのでしょうか。

現在までに、300組以上の方々が移住相談に来られ、このうち70組がここで土地を買って、家を建て、移住されました。週末移住の方もいれば、完全移住の方もいます。

うれしいことに30代、40代の若い夫婦が増えています。最近では、東京生まれ東京育ちの若い方々が子育て環境を踏まえた田舎探しで相談に来るということも増えました。

なかには相談に来られて移住できない理由ばかり並べる方がいますが、難しいと思うのであればやらないほうがいいと思います。

ただ、移住はそんなに難しいことではないし、若いひとほどやるべきだと思います。

地方は都会みたいに土地が高くはないので、広い土地に大きな家を建てることができるんです。それも都会で家を買うのと同じ、もしくはそれよりも安い場合が多い。だからローンを組むんだったら、こっちで大きな家を建てた方がよいと思いますね。

もりっしゅ
MORISHデザインの家

あとは都会と田舎の両方を体験することで、都会の良さ・悪さ、田舎の良さ・悪さが見えてきて、自分のライフスタイルを俯瞰して考えることができるようになります。

ぼくなんかはこっちの生活に慣れたので、たまに東京に行くと違和感を感じることがあります。

東京のスタバとかカフェでみんな仕事してるじゃないですか。家に帰ってやればいいのにと思うんですけど、要は家が落ち着いたり集中したりできる空間ではないんですよね。だからカフェに行く。

すごく静かで図書館みたいですよね。あと1人のひとが多いですね。つながっているつもりなんだろうけど、寂しいんだろうなと思います。

パリのカフェは怒鳴るくらい大声出さないと話せないんですよね。みんなすごくエネルギーがあるんですよ。そういうのを見ていると東京は大人しすぎると思ってしまいます。

一方で、若くて優秀なひとたちがこちらに移住してきているので、そういうひとたちと八ヶ岳発で何かできないかなと画策しています。いまやっとマイナスからゼロの出発点に立てたので。

 

東京から八ヶ岳に完全移住した友枝さん。今後は八ヶ岳から世界に向けた情報発信を計画しているという。
後編では、友枝さんを慕って移住してきたひとたちや地元の役場も巻き込んで計画している次なるステップについて話を聞いた。

八ヶ岳田舎暮らし 移住のススメ MORISH COUNTRY 原村

Facebookのモリッシュカントリー

取材・執筆 :

シゲキ的?

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友枝さん

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