「自然農法」を広め、世界から飢餓を失くすために

2017.5.19

渋谷生まれ、渋谷育ち、田舎には縁もゆかりもなかった田中さん。アメリカ留学で知った世界の食問題、その課題解決の第一歩として、群馬で農家を始めたそう。そのきっかけについて伺った。

高齢化率が全国1位であり、過疎化が進む群馬県南牧村にて、耕作放棄地を利用した「自然農法」に取り組み、野菜を栽培しているという田中陽可さん。田中さんは、もともと東京の渋谷で生まれ育った。田舎暮らしには無縁に見える田中さんが南牧村に移住し、農業を始めたきっかけとはなんだったのか、また無農薬農法の取り組みや今後の展望などを伺った。

農家をはじめたキッカケは?

−24歳(2年前)の時に南牧村に移住したということですが、その前はどういう生活をされていたんですか?

東京の実家から都内の高校に進学し、その後アメリカの大学に進学しました。その後日本へ帰ってきて、ピースボートという船旅に通訳・翻訳のボランティアスタッフで乗ったんです。世界一周し、帰国後、約10ヶ月都内で通訳・翻訳の仕事をしていました。

通訳・翻訳の畑で働いてきて、どういう経緯でこの土地へ?

キッカケは、大学時代に遡るんですが飢餓問題に興味を持ったことが始まりです。

どうすれば飢餓を失くすことができるのか、アメリカの大学で学び、農業にたどり着いたんです。

その飢餓問題に関心を持ったキッカケは何だったんですか?

20歳の頃にアメリカで手術して。。腸を切る手術だったんですけど、腸を切って、腸が繋がるまで何も飲めなくて何も食べれない入院生活をしていました。でもお腹は減るわけですよ。で、こういう人いちゃダメだなと思って、飢餓を無くしたいなっという風に思いました。

なるほど。飢餓については独学で学んだのですか?

飢餓についてはアメリカの大学で学びました。勉強していくなかで、英語でランドグラビング、日本語で「土地収奪」という問題が世界では起こっていることを知ったんです。

「土地収奪」は、日本などの国や企業が、アフリカやアジアなどで土地を買って、そこでトマトやトウモロコシ、大豆などを栽培して収穫して、自分の国に持ってきて土地のレンタル費用を支払うことを言います。

例えば日本は、モザンビークというアフリカの土地を買って、その土地でトマト缶のトマトなどを栽培してるんです。ただ、その栽培している国に住んでいる子供の3分の2が栄養失調で死んでるんです。

これはおかしいなと。飢餓が生まれている国で豊富な作物が栽培されている。

反対に、こうした、別の国で栽培して食料を輸入している日本では、耕作放棄地が今増えている。作ろうと思えば作れるのに何もしていない。

実際、高齢化だったり、農業自体が衰退しているという側面もあるのですが。

畑はいっぱいあるけど、アフリカの方が生産コストが安いという理由で飢餓に苦しむ子供たちを横目に栽培しているんです。なんでアフリカで育てた作物なのにアフリカの人びとは食べることができず飢餓に苦しむのだろうと。この仕組みを変えれないのかなと思ったんです。

その解決策の一つとして農業を始められてのですか?

そうですね。僕の農法は肥料と農薬を一切使わずに行う「自然農法」という農業なんですよ。

自然農法は、耕作放棄地で実施するには適しています。なぜなら肥料が抜けきっていて、土の中に微生物がいることで肥料と農薬も使わなくても微生物の力を借りて栽培できるんです。

日本で自然農法が広まれば、耕作放棄地こそが自然農法にピッタリなんだから、耕作放棄地を使って農業をすることでアフリカに行く必要がなくなるんじゃないかと考えているんです。日本にも豊富な土地があるわけだから、その資源を使って野菜を生産したいんです。

都会からの突然の移住、生活にギャップは?

南牧村に移住してみて渋谷やアメリカの生活と田舎での生活とのギャップはありましたか?

僕は全然戸惑わず、普通に楽しんでいます。むしろ居心地がいいですね。

なにより人があたたかいし、助け合っていきている感覚があります。畑で取れた野菜をご近所に配ったり、逆に隣のおばあちゃんからは手料理をいただいたり。

都会の暮らしって隣の家の人がどんな人なのかとか近所の交流とか単身だと特にないに等しいじゃないですか。

でもここは違う。住んでいるという事実で人とつながることができます。

田中さんは、移住して約2年ということですが、南牧村へ移住を決めたきっかけは?

きっかけは、地域おこし協力隊という国の制度を利用してここを訪れました。

良いタイミングで南牧村が協力隊を募集していて。

それで南牧村に来てみたら山もあるし、自分のしたい農業ができる環境もある。

一年目は協力隊として南牧村について学び、二年目は定住に向けた活動として農作業を主に行いました。そして今年3月末で協力隊を辞め、4月からは独立し、ここで農業をしています。

自然農法を日本に広める

農作物は何を作っているんですか?

野菜全般を作ってます。直近だと6月にニンニクやジャガイモが収穫できます。夏にはトマトやナス、トウモロコシなど夏野菜の収穫が続きます。

野菜はJAを通して?

いえ。道の駅で販売しているのに加え、東京の八百屋さんやレストランに発送しています。

営業先の開拓とかは自分で?

紹介いただくこともあり、自分で直接メールで問い合わるケースもあります。その場合は、サンプルを送って。

−結構手間暇かけた農業だと思うんですけど価格はそれなりにするんですか?

オーガニック野菜って東京とかだとすごく高いですよね。

ただ、僕はより多くの人の手に取ってもらいたいので、安く売りたいんです。多くの人が手にとり、食べてくれれば自然農法を知るきっかけにもなりますし。

僕自身の生活費もここに住めば、ほとんどかかりません。

比較的生活費を抑えられるのでその分、野菜の販売価格を下げて販売しています。

多くの人に知ってもらうきっかけづくりも価格のところで工夫されているのですね。今後はどのようなことをしていきたいですか?

引き続き、肥料や農薬を使わなくても野菜は作れるんだということを多くの人に知ってもらうきっかけづくりをしていきたいですね。

そして、耕作放棄地をどんどん開拓できる仲間を増やして、飢餓がなくなるように一歩ずつ進んでいきたいです。

取材・執筆 :

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