ノマドを超えた新たな働き方ー渡部薫の壮大な実験#02

2017.2.24

好きな場所で、好きなときに働き、報酬は責任に対して支払われる。
ノマドを超えた本当の働き方革命を目指すビジョナリストの絶え間なき試行錯誤。

独自に「テクノロジーによるライフスタイル変革」を試行するビジョナリスト、ジークラウド株式会社の創業者・CEOの渡部薫氏。

渡部薫さん

前編では、30年がかりで取り組む壮大な実験で渡部氏が実現したい新しい経済モデル、新しいライフスタイル・働き方について語ってくれた。
後編となる今回は、自らの実践を通じた現在進行中の働き方変革、そして新しいライフスタイルの提案について迫ってみたい。

「自由を売って」ではなく「責任を果たして」お金と自由を獲得する働き方

ーさきほど(前編)、いまの働き方は自由を売って、その対価としてお金をもらっている、とおっしゃいました。未来の働き方は、どのように変わるのでしょうか。

未来の働き方は、どこでも自分の好きな場所に行って、自分の好きな時間に働き、責任を果たしたことに対してお金が支払われるという仕組みになります。

ノマドとは決定的に違います。

ノマドは主に個人がカフェとかシェアオフィスで自由な働き方を指しますが、我々は、普通の会社と同じように完全な組織を構築します。
会社=組織が地上にあるのではなく、クラウド上にあり、社員が永遠に死ぬことのないバーチャル社員で実際の人間やソフトウェアがバーチャル社員のアイデンティティを作り、組織としての組織力と信頼、事業継続性を保持します。

人間の成長には限界がありますが、我々の組織は、能力の違う人間に入れ替わればスキルアップするし、もちろんその逆もありえます。

ソフトウェアがアップデートすれば組織そのものもアップデートするし、変化に柔軟に対応できるのです。
ソフトウェアやテクノロジーとともにアップデートする新しい組織の概念です。

いまでも、自由な働き方をしているひとたちはいます。

この背景には、インターネットやクラウドなどテクノロジーの発展がありますね。
それと同じく重要なのが、発注者の意識が変わっているということ。

自由な働き方ができるのは、発注者が許容してくれているということなんです。
発注者が変わってくれないと、自由な働き方をできるひとのパイが大きくなりませんからね。

たとえば、サーフィンをしながらデザイナーをしているひとなどがいますが、それはそのひとが求められるスキルを持っているからなんです。

ぼくが目指しているのは、もっと普通のひとが人生のなかで、そういうことができるような仕組みをつくることなんです。

ただ20世紀がそうであったようにこうした世の中になるのは時間の問題で、ぼくがやらなくてもそうなっていくと思います。

でも歴史を見ても分かるとおり、どうしても悪いことをするひとや搾取するひとがでてくるので、どうせなら世の中が良い方向に向かうようなルールづくりをしていきたい。

新しい仕組みのなかでは、お金はあくまで成果物、責任に対して支払われるようになります。
これはすでに起こり始めていることです。

多くのひとがお金ではなく、時間だったり自分の価値観を優先し始めているからなんです。

GoogleとFacebookが生み出した多様な価値観

ーたしかに、少しずつ変わってきているという実感はありますね。なぜこのような価値観シフトが起こっているのでしょうか。

GoogleとFacebookのおかげといえます。

つまり、これらのテクノロジーを通して、多様な価値観やライフスタイルを目の当たりにしているからなんです。

いままで多くの人々が、学校の先生や親から、いい学校に入って、いい会社に就職して、いいマンションを買って、出世して、年金で安泰した老後生活を送るということが「幸せ」だと洗脳されてきたわけです。

それが、Facebookで流れてくる投稿をみて気付くんです。
山登りをしているひとやサーフィンしているひとが自分の好きなことに時間を使い、生活している。そしてすごくいい笑顔で「幸せ」そうだなと。

本当は「自分もそういう生活をしたかったのにな」と思って仕事しているわけです。

いろんなひとたちが世の中にいて、それが見えるようになってきたから、自分もそう思っていいんだと。
離れたところでも、どんどんと共感のつながりができている。
だから、自分もできるんじゃないかと思うようになって、実際行動に移すひとがでてきているんです。

よくよく計算したら月に20万円くらいでもいいんじゃないかと。都会で50万円稼ぐのと地方で20万円稼ぐのでは、地方の方が幸せ度が高いことを発見しちゃったんです。

あとは行動するだけ。

自ら実践する「新しい働き方」と「新しいライフスタイル」

ー渡部さんご自身、どのような働き方・ライフスタイルなのでしょうか。

基本的に動き回っています。

物理的拠点は、札幌、東京、京都、大阪、神戸、広島、福岡、沖縄と主要観光地にあります。
いまはシェアリングサービス事業を主力としてやっていて、ホストとして貸し出している部屋がこれらの拠点にあるからです。

ぼくの仕事はクラウドベースで、物理的な制約がなく好きな場所、需要のある場所に行けるわけです。

実は、この銀座オフィスもけっこう家賃が高いですが、実質無料なんです。利益を出そうと思えば出せるのですが、必要ないので出していないだけ。

ーなるほど。シェアリングサービスを活用して主要観光地にオフィスがあり、好きなときに、好きな場所にいけるのはうらやましいですね。

これは、いまぼくらが考えている新しいライフスタイルの提案にもつながるのです。

たとえば、東京で家賃20万円、月1回の旅行で5万円使い、車維持費に5万円払っているひとがいたとしましょう。
その30万円をうまく使うことで、どこにでも住めて、予算に合わせたライフスタイルを提供することができるのです。

1カ月の間に、札幌、六本木、銀座、沖縄の4カ所に住むということもできる。ソフトウェアを使えば、予算に合わせて自動でおすすめの場所や好みに合わせた場所をレコメンドすることもできて、現地では予算に合わせた車も用意できる。

チョコレートが好きだったら、ショコラ展があった銀座周辺とか、音楽好きならフェスのある場所など。
北海道とか沖縄だと家賃が安いから余った分は来月に繰り越しとか、携帯電話モデルのようにもできる。

都心で払う同じ額なのに、うまく使えばライフスタイルのパフォーマンスを上げることができます。

いまは21世紀なので、当然20世紀のパフォーマンスより下げたらだめなんです。
幸せ度や満足度は上がってないといけないんです

出張といえば日帰りで朝5時くらいに家を出て夜中に帰宅するとか、必要あれば単身赴任で飛ばすとか。
多くの企業の上の世代のひとたちはこういうことを経験してきて、これが普通という価値観なので、ライフスタイルのパフォーマンスを高める提案をしても、なんで若いやつらだけにいい思いさせるのかと感情的になってしまうと思うんです。

彼らは時間を売ったがゆえにそういう価値観になってしまった。
お金で時間を買う資本主義とシェアリングエコノミーは対極にあるといえます。

ー確かに、確立された価値観を覆すのは難しいですね。

ぼくの子供なんかは、なんで全国に家があるのかって不思議がってましたけど、だんだんそれが当たり前になってきている。

子供がそのことを言いふらすものだから周りのひとはものすごい金持ちだと思っているわけですよ(笑)

そうじゃなくて、実質ゼロ円で運用してるだけで、昔の基準でいう金持ちではないんです。

テクノロジーを活用してうまく運用すれば、いろんな場所に家を持てて、ライフスタイルの質も上がるし、行った先でお客さんを開拓できたりして、あまり悪いことはない。

唯一の課題は、クラウド上でマネジメントとか管理はしないので、組織上の壁にぶち当たっていること。

10人の壁を超えられないんです。5年くらいトライしているけど超えられない。
10人を超えてくると、だんだん質が落ちてサービスが崩壊するんです。

バーチャル人材はいくらでも増やせるのですが、まだその裏で動いてくれるのが実際のひとなので業務命令にしないとそこを超えられない。

これがいまの最大の悩みですが、ここをどう解決していくか。

さらには大企業側の意識改革とかルールづくりをやっていきたいし、それらをぼくらの世代で全部変えていきたい。

ぼくらが犠牲になって次の世代を送り出すわけです。
でも、それをやっていることがぼくにとっては人生の最大の報酬なんです。

新しいものをつくることが生きがいだし、それが楽しいので。

 

取材・執筆 :

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