ナベプロ芸人と現役慶應生が激突! SFCで開催されたドローンレース

2017.1.23

2016年3月11日にドバイで行われるドローンレース「World Drone Prix in Dubai」に向け、各地で予選大会が実施された。ドバイ本戦での賞金総額は1億2000万円。世界各地から選ばれた32チームが本戦でぶつかる。
アメリカやドイツ、韓国ですでに選考会が実施されており、日本でも2月14日に慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスにて日本選考会が行われた。慶應大生やお笑い芸人など、さまざまなバックグラウンドを持つ総勢16名のドローンレーサーたちが、激しい戦いをみせた。

激突 ドローンレース

ナベプロ芸人と現役慶應生が激突! SFCで開催されたWorld Drone Prix 日本選考会レポート

なお、ドバイ本戦への出場の決め手となるのは ”速さ” ではなく、”映像”。これは従来のドローンレースとは大きく異なる部分である。ドバイの運営本部が映像を見て本戦出場の可否を判断するためだ。
日本選考会はこの映像撮影を目的として実施されたが、選考会独自の評価ルールとして、各パイロットの最速ラップの比較も行われた。
ドバイ戦への出場を希望するパイロットは1キロメートル(コース5週分)を走行した映像の撮影が必須。一方、大会を楽しみたいパイロットは最速ラップを意識して試合に臨んだ。試合は2ラウンドとファイナル4(決勝戦)の合計3回にわたって行われ、決勝ではもっとも速いラップを記録した上位4パイロットが優勝を競った。
当日は大雨により、急きょ会場が屋外から屋内に変更された。屋内のため、電波が反射し、ドローンからのFPV映像が大きく乱れるという悪いコンディションのなかでも、各パイロットは高い集中力と操縦技術でコースをクリアしていき、会場を沸かせた。

Image titleレース会場となった慶應大学SFCの体育館レース会場となった慶應大学SFCの体育館

優勝候補だった昨年のDJI EXPOで優勝したTeam HITEC FPV JAPANを抑え優勝を飾ったのはチーム「FPV Robotics」の高校生パイロット、高梨智樹さんだ。父の高梨浩昭さんとチームで出場し、クラッシュ時のサポートを受けながら見事優勝を勝ち取った。2位と3位にランクインしたのは「XNOVA With GOLDSTONES」の成澤章浩さんと鎌田浩二さんだった。

優勝を飾ったチーム「FPV Robotics」の高校生パイロット、高梨智樹さん(写真中央)優勝を飾ったチーム「FPV Robotics」の高校生パイロット、高梨智樹さん(写真中央)

「XNOVA With GOLDSTONES」から準優勝の成澤章浩さん(写真中央)と準々優勝の鎌田浩二さん(写真左)「XNOVA With GOLDSTONES」から準優勝の成澤章浩さん(写真中央)と準々優勝の鎌田浩二さん(写真左)

個性派ドローン芸人 谷+1。とディープな仲間たちの姿も

急なコース変更で戸惑いと緊迫感が会場を包んでいたなかで、笑いで会場を沸かせたのが個性派ドローン芸人 谷+1。率いるチーム「ナベプロTANI+1」だ。チームリーダー・かっぱ兄さん、ナビゲーター・本田らいだ〜△、ピットクルー・きくちー、そしてパイロットは谷+1。という構成だ。

チーム「ナベプロTANI+1」左から谷+1。、きくちー、かっぱ兄さん、本田らいだ〜△チーム「ナベプロTANI+1」左から谷+1。、きくちー、かっぱ兄さん、本田らいだ〜△

レースでは、クラッシュによりタイムなしという結果だったが、さまざまなパフォーマンスで会場を盛り上げた最大の立役者だったのは間違いないだろう。

クラッシュをネタに笑いをとるチーム「ナベプロTANI+1」クラッシュをネタに笑いをとるチーム「ナベプロTANI+1」

ドローンに搭載しているFPVカメラが落ちて無くなってしまうアクシデントも起きたが、チームリーダー・かっぱ兄さんの「目視でいけるよ!」との声で、谷+1。選手は操縦を目視に切り替え、難を乗り越える場面もあった。クラッシュをする度に谷+1。選手以外のメンバーがドローンに駆け寄り、「問題ない!」と激を飛ばす姿に、会場は大きな笑いに包まれていた。
試合後に、同チームを取材したところ「何度もクラッシュをしたのに、プロペラが破損しなかった。谷+1モデルの堅牢性は相当なもの」と自身のロゴが入ったカスタマイズドローンの活躍ぶりを讃えた。

ボディーを通常より薄くした谷+1モデル「うすいくん」 何度クラッシュしてもへこたれない根性を持っているボディーを通常より薄くした谷+1モデル「うすいくん」 何度クラッシュしてもへこたれない根性を持っている

それに対してメンバーからは「ドローンの頑丈さは確かに一番。でも運転手が一番下手くそ」と辛辣なコメントがなされる場面も。結果は振るわなかったが、「1周もしていないけど、気持ちは5周した。やりきった」と、谷+1。はさわやかな笑顔をCATALYSTtチームに向けた。

大盛り上がりだった今回のレースを影で支えた学生の存在

このレースを影で支えたのは、慶應大生が主体となって活動するドローンのスポーツチーム「KART」のメンバーたちだ。KARTは総勢6名で活動しており、パイロット3名、メカニック1名、PR2名によって構成されている。

チーム「KART」 創設者の高宮悠太郎さん(写真左から3番目)チーム「KART」 創設者の高宮悠太郎さん(写真左から3番目)

同チームが発足したのは2015年末。発足者である高宮悠太郎さんがドローンに興味を持ったのは、ドローンを使ったビジネスモデルを考える授業にコロプラ取締役の千葉功太郎さんがゲストスピーカーとしてやってきたことがきっかけだった。同じく授業に参加する同期3人とドローンを一緒に飛ばすうちに、速さを競い合うようになり、自然とレース自体に興味を持つようになったという。
今回のレースでは、高宮悠太郎さん、佐藤健史さん、小原章紀さんの3名がパイロットとして出場した。高宮さんは会場の運営を兼任しながらもレースで大健闘を見せ、決勝に進出し、全体の成績では出場者16名中4位にランクインした。

FPVゴーグルを装着しドローンを操縦する高宮さんFPVゴーグルを装着しドローンを操縦する高宮さん

試合終了後の取材のなかで高宮さんはKARTを「多様性と可能性に満ちあふれているチーム」と表現し、本レースでは確実にドバイへ進めるように歩を進めたと前向きにレースを振り返った。

規制と偏ったイメージの壁を超えて KARTが目指す若い世代へのドローン普及

翻って、今回の出場チームのなかでは、唯一メンバー全員が学生であることから同年代のドローンの浸透度についても尋ねたところ、「規制」と「ドローン=難しいというイメージ」が大きな足かせとなっている、と語った。
高宮さんは自身の大学でのドローン事情を例に、「ドローン自体を持っている割合は高いが、規制が厳しいことが足かせとなって、実際に飛行させている割合は少ない」と浸透度の低さについて言及。現在、ドローン人口を増やすための取り組みとして、慶應義塾大学 SFC研究所 ドローン社会共創コンソーシアムを主体にして、現行の法律の是非を議論し、また実際にドローンを飛ばしてどれほど影響があるのかを実験を進めているという。
併せて、KARTのチームリーダーで今回レース解説を兼任した遠藤澄絵さんは、自身の体験を例に、ドローンに対する「機械的で難しい」というイメージを変えていきたいと語った。

「ドローンと聞くと機械的で、何となく難しい印象を抱いてしまいがちです。私も、実際に操縦してみるまでは “ラジコン”という言葉に対して何となく苦手意識を感じていました。でも、実際に操作してみるとすごく楽しくて。こうした自分の経験があったからこそ、何となく難しそうというイメージを持った人たちへ操作の簡易性を広めていきたいです」。

自身もドローン初心者と語る遠藤さんは、KARTのFacebookページでドローン初心者に向けて「素人が解説するドローン操作動画」などを公開しているそうだ。草の根活動が功を奏してか、実際に大学1年生から参加したいというメッセージをもらうことも。

「少しずつではありますが確実に巻き込めていますね。KARTが主体になって、学生がドローンレースをひとつのスポーツとして認知するようにしていきたいです」(遠藤さん)。

レース解説をする遠藤さんレース解説をする遠藤さん

筆者は今回はじめてドローンレースを取材したのだが、手作りで未完成でありながらも、各パイロットが自分のカラーを自由に表現するドローンレースは、未来のエンタメ・スポーツとして非常に高いポテンシャルがあると感じた。
ドローン=機械的で難しいという印象が強いかもしれないが、実際に操作してみると、女性でも楽しめるということが分かった。また、空撮用ドローンだとハイクオリティの空撮映像を撮影できるため美しい写真や映像を撮影したいというクリエイティビティを刺激する。
本レースでの影の活躍者であるKARTのような若い世代が、ドローンの新しい楽しみ方をどのように世間に広めていくのか、これからもその動向を見守りたい。

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